未だ予断を許さない状況にあるギリシャ。このまま緊縮案を受け入れられず、ユーロ離脱となるのか?それとも債務減免されるのか、連日ニュースから目が離せません。ところで、そもそもギリシャはどうして破綻しかけているのでしょうか。中小企業診断士であり作家の三橋貴明さんがその点について詳しく解説してくれています。
ギリシャ危機に至ったのは必然だった!
ギリシャはなぜ、財政破綻に追い込まれたのか。巷では、「ギリシャ人が怠けて働かないから」「ギリシャは公務員だらけだから」といった間違った情報が流布されているが、「大元」の理由は何だろうか。経済学というよりは「経済統計」について正しく理解すると、ギリシャは財政破綻したのは「必然」だったことが理解できる。
GDP(国内総生産)とは、以下の式で表現される。
- 国内総生産=民間最終消費支出+政府最終消費支出+民間企業設備+民間住宅+公的固定資本形成+純輸出
純輸出を除くと、GDPの需要項目は「消費」と「投資」の二種に分類される。
- 消費=民間最終消費支出+政府最終消費支出
- 投資=民間住宅+民間企業設備+公的固定資本形成
また、純輸出とは国際収支の経常収支における「貿易収支+サービス収支」である。
経常収支は、以下の式で表現される、
- 経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支
国民の所得の総計である「国民総所得(GNI)」は、GDPに所得収支と経常移転収支を加えたものだ。
- 国民総所得=GDP+所得収支+経常移転収支
GDPの内、純輸出は貿易収支とサービス収支の合計であるため、
- 国民総所得=消費+投資+貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支
すなわち、
- 国民総所得=消費+投資+経常収支
の式が導き出せる。
ところで、国民総所得から消費を差し引いたものが「貯蓄」になる。貯蓄とは、所得から「消費に回らなかったもの」という定義になるのである。
というわけで、上記の式の消費と投資を左辺に持っていくと、
- 貯蓄-投資=経常収支
という最終的な式が導き出されるのだ。
上記の式から、「経常収支が赤字の国は、国内が貯蓄不足」「経常収支が黒字の国は、国内が貯蓄過剰」になることが分かるのだ。ギリシャは経常収支の赤字が継続し、国内の貯蓄不足が続いた。結果、ギリシャ政府は国債償還を国内金融市場ではなく「国際金融市場」に依存することになった。
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