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「9月FOMCで米利上げなら、むしろ内外市場は落ち着く可能性も」=米CFA協会認定証券アナリスト・馬渕治好

8月の株安をみごと的中させ読者急増中のメルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』。最新号では、馬渕さんが9月FOMC(9/16~17)での米利上げの可能性を検討しています。中国や新興国など問題山積の状況で米国が利上げを断行したら、マーケットはどうなる?

米連銀の9月利上げの可能性と、利上げ後の市場展開は?

中国経済の悪化を理由とした利上げ延期は考えにくい

米連銀が来週9/16(水)~9/17(木)のFOMC(連邦公開市場委員会)で、利上げするかしないかについては、どちらかと言えば利上げの可能性が高いと予想していますが、実際どうなるかは、わかりません。

これは、連銀としては利上げするかしないか決めているが、筆者がそれがわからない、ということではなく、様々なパイプで連銀内部の空気を探ると、連銀自身が利上げするかどうか現時点でわからない、ということが、筆者にはわかっているという意味です。

つまり、FOMCで投票権があるメンバーの間でも意見が割れており、FOMCになってみないと、誰にもどうなるかわからない、という状況です。

中国経済の悪化を踏まえると、連銀は利上げを見送るのではないか、との意見がありますが、米連銀は中国の中央銀行ではありません。中国経済がどんなに悪くなろうと、米国経済が回復色を強めれば利上げするでしょう。

今のところ、中国経済悪化の悪影響が米国に表れた、という話は、個別例では挙がっていますが(9/2水発表の地区連銀経済報告――表紙の色から「ベージュブック」と呼ばれています――でもそうした例示があります)、まだ目に見える悪影響が生じているとは考えにくいです。

もし、今後も中国経済の悪化が続いていけば、米国経済に与える悪影響(米国から中国向けの輸出は全輸出の7.3%に過ぎず、悪影響が余りあるとは思えませんが)も、先に行けば行くほど大きくなる可能性があります。

もし連銀幹部がそう考えれば、たとえば12月などに利上げを先送りし、さらなる中国経済の悪化から利上げができない事態に陥るより、9月のうちにやってしまおう、という判断に傾いてもおかしくありません。

S&P500指数 週足(SBI証券提供)

S&P500指数 週足(SBI証券提供)

来週利上げなら、むしろ内外市場は落ち着く可能性も

なぜそこまでして利上げをしたいのだと、いぶかる読者の方もおられるでしょうが、連銀など中央銀行にとっては、量的緩和やゼロ金利は異常な金融政策であり、通常はとるべきではない、という考えが根底にあります。

リーマンショック以降の米国経済の後退が異常事態であったため、緊急措置として異常な金融政策をとった、したがって、経済が極めて強い、ということでなくても、異常事態を脱したのであれば、金融政策も正常に戻したい、という考え方です。

このため、昨年10月に量的緩和は終了しましたし、近いうちにゼロ金利もやめたい、ということなのです。

別に連銀は、米国株式市場や債券市場を混乱に陥れたいわけではありません。9月に利上げとなっても、「これは金融政策の正常化であって、引き締めではない、それに2回目以降の利上げは、かなり先のことになる」というメッセージを強く出すでしょう。

また必要であれば、利上げ幅を0.25%ではなく、0.125%と小幅にすることもありえます。

それに、堅調な米国経済が、わずか0.25%幅だけ金利が上がったことで、がらがらと崩れ落ちることはありません。0.25%幅の金利の変更だけで、新興諸国から米国に、怒涛のように資金が引き上げて、新興諸国市場が混乱する、という説も、誇張され過ぎだと考えます。

とすれば、現在の世界市場の波乱要因の一つに、米国の利上げ懸念が含まれているとすれば、現時点ではやや行き過ぎの感があります。また、むしろ来週利上げとなったほうが、かえって内外市場は落ち着くように見込まれます――


8月の世界同時株安をみごとに的中させ、読者急増中の有料メルマガ『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』の記事はいかがでしたでしょうか?

本記事はメルマガ最新号全体の1/3程度の分量にすぎません。メルマガでは、今回ご紹介した米利上げに関する考察以外にも、想定以上に大荒れとなっている内外市場の最新分析や、気になる今週のマーケット展望を馬渕氏が詳しく解説しています。

これまでの実績は、MONEY VOICEの過去記事でもご確認いただけます。日経平均株価が21000円どころを何度もトライしていた7月に馬渕氏が配信した「本来は18000円で止まるはずの株価が、17000円まで下落するかもしれません」との分析により、難を逃れた投資家の方も大勢いらっしゃるようです。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2015年9月6日号)より一部抜粋・再構成
※太字とチャート画像はMONEY VOICE編集部による

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