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市場が織り込んでいない「実態との乖離」とは?日銀短観まとめ

10月1日に発表された9月日銀短観は、企業の先行きの景況感が悪化するいっぽう、設備投資は上方修正となり、強弱まちまちの結果となりました。ただ、投資信託に精通しSEの経歴を活かしたツール提供を行うのりたま氏は、今回の結果にはまだ中小企業の悪い数字が反映されておらず、実態と乖離している恐れがあるため、引き続き警戒が必要としています。

設備投資好調も鵜呑みは禁物、より重要なのは中小企業だ

足元は強弱まちまちに

まずは10月1日に発表された日銀短観を確認します。個人的には前週、いちばん注目していたのがこの日銀短観です。

景気ウォッチャー調査や、その他の現状を踏まえるとあまり良くない結果が想定できていたので、その辺りの具合を確認したいと思います。※日銀短観2015年7-9月期(PDF)

<製造業 最近>
大企業:12(-3)
中堅企業:5(+3)
中小企業:0(+-0)

<非製造業 最近>
大企業:25(+2)
中堅企業:17(+1)
中小企業:3(-1)
※カッコ内は、前回比

大企業の業況感は-3の悪化で、思った通りの悪化になったなと思う反面、製造業の中堅企業や非製造業などは伸びており、思ったよりは悪くないなという印象もあります。

もちろん大企業が先行しているのだとすれば、今後、中堅企業、中小企業へも影響が出てくる可能性はあると思いますが。

9月分の景気ウォッチャー調査はまだ出ていないですが、短観は9月分が先行して含まれているぶんがあるので、もしかすると9月分が上振れしたのかなと推察できなくもないですが、どうでしょう。

10月8日に9月分の景気ウォッチャー調査が発表されますが、期待していいのかな?

意外にも自動車関連がプラスですが、単に円安の影響が大きいのだろうなと思うところです。不動産がプラスなのはちょっと違和感あるかな。

原油安や円安による原材料価格の上昇などが悪化にあらわれているのかなと思うところもあります。その他は、機械関連の悪化が目立っており、中国を含む世界の景気減速懸念が出ているなと思うところです。

先行きは悪化、不透明感強まる

次に先行き。

<製造業 先行き>
大企業:10(-2)
中堅企業:4(-1)
中小企業:-2(-2)

<非製造業 先行き>
大企業:19(-6)
中堅企業:13(-4)
中小企業:1(-2)
※カッコ内は、現状比

すべてで悪化。製造業の中小企業がマイナスというのは厳しい状況を示していると思います。やはり先行きの悪化は間違いなさそうです。

設備投資は意外にも上方修正

次に設備投資。

<全産業 15年度計画>
大企業:10.9%(+1.5%)
中堅企業:2.2%(+0.2%)
中小企業:-6.1%(+11.4%)
※カッコ内は、前回比

まさかの上方修正!先行き悪化で設備投資が上方修正とは意外でしたが、企業が前向きならありがたいことです。先行きが悪化しているものの、円安の影響もあるのか現状が思ったよりも悪くなく、設備投資が上方修正されたのは評価できると思います。

しかし!

この内容をそのまま受け取ることはできません。なぜなら昨年の7-9月期の状況が思い起こされるからです。円安で企業業績は上々で、設備投資も上方修正。しかし、7-9月期のGDPはマイナスという正反対の結果となり驚いたものです。

円安の利益で上乗せされる企業業績と国内景気が一致しないのは当然考えられるところですが、このとき注目されたのは、資本金1千万円未満の企業分が反映されておらず、その影響が想定以上に大きかったことです(詳細は2014/12/14発行のメルマガNo.148)。

Next: 短観から大きくズレる可能性。気になる中小企業の現状は?

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