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問題は「村上」ではない。中小型銘柄を売り崩す海外ファンド勢の手口

最近気になるのは、業績改善などの良い発表があっても一時的に買われるだけで長続きしない中小型銘柄の鈍い値動きです。これら中小型銘柄を借株で売って、崩れたところを買い戻す方法で利益を得る手法を取っている海外籍ファンドが存在します。(『億の近道』街のコンサルタント)

「村上」以上の影響力。海外籍ファンドに株価操縦の疑い

最近の相場を振り返ってみれば

ここ数カ月の国内株式市場は面白味がないですね。中国の景気懸念や資源安、米国利上げの予想やテロなどの海外ニュースに加え、国内では杭打ち偽装や粉飾などのニュース、そして海外市場の乱高下をネタに指数ばかりが上下動している市場です。

知り合いの証券マン氏は、日経レバや先物などで短期売買をするのがやっとで、個別株ではなかなか儲からず収入が減ったと言っていました。

今後は郵政3社の株価も徐々に落ち着いてくるでしょうし、政策的にも足元の景気動向やこれらの株価指数水準であれば特別な対策が取られることもなさそうです。個人的にも、8月末に数銘柄を仕込んで以降は、「遊び感覚」でたまに短期売買をする以外、怖くてまともに参加する気になれませんでした。

先日お会いした元運用会社勤務の投資家さんは、日経平均が2万円を超えたところで以前から持っていて値上がりした株を半分ほど売っただけで、それ以降は中長期で持てそうな銘柄を安い日に少しずつ仕入れる程度にしていると仰っていました。

もっとも11月に入ってからは決算発表の内容に好感が持てるものや、増配や自己株買いを発表した会社など、徐々にですが買いが入りつつある銘柄も増えているようです。

中小型銘柄を売り崩す海外ファンド勢

ところで最近気になるのは、業績改善などの良い発表があっても一時的に買われるだけで長続きしない中小型銘柄の鈍い値動きです。

業績向上への期待とともに割安だから買われたわけですが、すぐに売られる理由として、まずは市場参加者が限られているため短期の個人投資家が飛びつき、その後徐々に売られるケースが多いと思われます。

もう一点それとは別に、中小型銘柄を借株で売って崩れたところを買い戻す方法で利益を得る手法を取っているファンドの存在です。

十分な把握はできませんが全て海外籍のファンドで、ある程度上がった中小型の(目立たない)銘柄に万遍なく売りを出しているファンドもあります。保有銘柄や運用状況までを調べられないため実際の動向は不明ですが、もし意図的に売り崩しているのであれば相場操縦の疑いがあります。

当局はちゃんと対処しているのでしょうか?当局の調査が及び辛い海外籍を利用すれば、ある意味「何でもアリ」の状態になります。

最近では懐メロのような仕手本尊が逮捕されたり、村上氏ファンドへの捜査が入ったりなどありますが、相当の規制緩和が進み、かつITが発達した現在においては、コロケーションによるプログラム売買を含め本当に悪質な運用主体は別のところにあるのではないかと考えています。

まだまだ個人投資家は注意が必要

来年からの税制改正(編注:債券・公社債投信の税制変更)を見ても投資家メリットを小出しにしているだけで、実際には何かにつけ個人投資家に不利であり、かつ不透明な市場です。いくつか例を挙げれば、

  • 何故に個人は損益通算できる期間がたったの3年なのか?
  • 何故にNISA口座と合算した損益通算ができないのか?
  • 何故にNISA口座では年に1度の利益確定分しか非課税にならないのか?
  • 何故に個人ができない借株売りがファンドではできるのか?

…などなど。

今後とも、海外ファンドの保有高やショート数の増減が株価に影響を与えやすいかと思われます。投資の際には十分に気を付けていただければと思います。

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億の近道』(2015年11月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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