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【展望】米指標集中!利上げ期待で銀行株、補正予算で内需株も注目=山本伸一

東京株式市場はおおむね堅調に推移したものの、日経平均株価は大台を前に一服。ここから早期の2万円台奪還はあるでしょうか?12月4日(金)の米雇用統計をはじめ、米国経済を占う上で重要な指標が集中する来週(11月30日週)の相場展望を、株式評論家・山本伸一さんが解説します。

日経平均は大台前の一服。11/30週は米経済指標に左右されそう

まずはこの1週間(11月23日週)の相場動向を振り返り

今週の株式相場は、買い優勢の流れが続いていた先週の流れから、月曜日の祝日休場を挟んで火曜日も買いが優勢に。水曜日に利益確定売りを浴びたものの、木曜日には再び買い直されるなど、物色意欲の高さが確認されましたが、金曜日には売り直されています。

日経平均株価は、先週末の1万9800円台から、火曜日に1万9900円台乗せ。水曜日に1万9900円台を割り込んだものの、木曜日には1万9900円台を固め、金曜日も再び1万9900円台を割り込むなど、節目19900円台を挟んでの堅調もみあいとなりました。

日経平均株価チャート 2015年11月27日終値

日経平均株価チャート 2015年11月27日終値

今週は、テロ警戒のなか迎えた先週末から続く3連休も外部要因に目立った変化はなく、休場明けの火曜日は日経平均株価が戻り高値となる先週高値に迫る値動きに。改めて上値志向の強い状況が確認されていました。

ただ、海外時間帯でトルコによるロシア軍機撃墜問題、チュニジアでのテロなどが伝わり、地政学的リスクの高まった水曜日には利益確定売りが優勢。それでも日経平均株価は5日移動平均線を保つなど、押し目買い意欲の高さも確認されています。

その後の海外時間帯ではテロ警戒を消化。円安推移で折り返してきたことで木曜日は見直し買いを集めて切り返す動き。日経平均株価は8月以来の高値水準まで上値を切り上げたものの、大台2万円奪回を目前に膠着。感謝祭前で海外勢の市場参加も限られており、中核銘柄は鈍くなりました。

続く金曜日は米国市場が感謝祭の祝日休場。欧州株式市場が追加の金融緩和期待で堅調推移となったことから、東京市場は買い優勢で始まったものの、木曜日と同様に日経平均株価は大台2万円目前で停滞。

その後は先物主導で軟化するなど、薄商いのなか弱含んでいます。27日金曜日の日経平均株価終値は、1万9883.94円と2万円の大台を前に足踏みをした形ですが、堅調な推移を見せています。

値動きが激しかった個別銘柄をおさらい

日経平均構成銘柄では、シャープ<6753>が乱高下。

シャープ<6753> 日足(SBI証券提供)

シャープ<6753> 日足(SBI証券提供)

テレビ事業統括の小谷健一執行役員が同事業全体の営業損益が2017年3月期に黒字になるとの見通しと報じられたことが買い材料視されたのに続き、主力取引銀行による債権放棄案が浮上していると伝わったほか、液晶パネルを生産する堺工場の遊休地を大和ハウス工業<1925>に売却する交渉に入ったと日経新聞で報じられ、材料人気で急騰する場面もありました。

しかし、その後は債権放棄の見通しの有無やバークレイズなど欧州証券会社の目標株価引き下げを受けて売りが加速。iPhoneで有機ELパネル採用との報道も、液晶関連として売りを誘う結果になりました。

そのシャープ<6753>に支援検討している産業革新機構が三菱UFJFG<8306>とみずほFG<8411>に対して債権放棄を打診していると伝わったことから、これらの銘柄には債権放棄による負担発生を嫌気した売りに押された場面がありましたが、三井住友FG<8316>などとともにメガバンクは切り返しています。

トヨタ<7203>、ホンダ<7261>の外需関連に買いが広がり、日経平均株価構成比率上位であるファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>などは週を通して堅調推移。

また、NTT<9432>、NTTドコモ<9437>、KDDI<9433>の情報通信、大和ハウス工業<1925>、積水ハウス<1928>、大成建設<1801>の建設業も好調でした。

住友金属鉱山<5713>、DOWAホールディングス<5714>らの非鉄株も、国際指標となるロンドン金属取引所で貴金属相場が上昇しており、市況回復を好感した見直し買いを集めました。「中国の非鉄金属の業界団体がアルミニウムやニッケルの余剰生産分を政府に買い取るよう要請した」との観測報道が出たこともあり、需給改善による先行き期待も買いにつながったようです。

個別材料系では、米アップルがiPhoneに有機ELを採用するとの計画が報じられ有機EL関連の保土谷化学工業<4112>ブイ・テクノロジー<7717>アルバック<6728>などが上昇。

保土谷化学工業<4112> 日足(SBI証券提供)

保土谷化学工業<4112> 日足(SBI証券提供)

ブイ・テクノロジー<7717> 日足(SBI証券提供)

ブイ・テクノロジー<7717> 日足(SBI証券提供)

アルバック<6728> 日足(SBI証券提供)

アルバック<6728> 日足(SBI証券提供)

韓国LG電子が1兆円を投じて有機ELパネルの工場を新設するとも伝えており、テーマ人気が継続視されています。一方で、液晶関連のミネベア<6479>や日東電工<6988>が投げ売りに押されるなど、明暗が別れる形となりました。

また、旧村上ファンドの元代表・村上世彰氏とその関係先を証券等取引委員会が相場操縦の疑いで強制調査したことが伝わり、村上氏の保有銘柄であるアコーディア・ゴルフ<2131>エクセル<7591>三信電気<8150>などに放出懸念の売りが出ましたが、株主提案を行っていた黒田電気<7517>は一時は売りに押されたものの持ち直す動きに。
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新興市場も活発な値動きに

今週は新興市場の動きも活発。外部要因軟化とともに中核銘柄が調整する場面では、材料株や直近IPOの一角に短期資金が流入。

あんしん保証<7183>、ロゼッタ<8162>など直近IPOのほか、CYBERDYNE<7779>やミクシィ<2121>など新興軽量級の銘柄が積極的に売買されました。

また、その他には第2四半期決算での黒字転換、材料性では新規ファンド設立や投資先企業の上場を巡る思惑なども強まったフューチャーベンチャーキャピタル<8462>が急騰。そーせいグループ<4565>、エニグモ<3665>、倉元製作所<5216>、イメージワン<2667>なども賑わいを見せました。

フューチャーベンチャーキャピタル<8462> 日足(SBI証券提供)

フューチャーベンチャーキャピタル<8462> 日足(SBI証券提供)

Next: 【展望】米ISM、雇用統計発表|補正予算絡みで物色されそうな内需関連株は?

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