くそー、飲んでやる!「ヤケ酒」「ヤケ食い」は効果あるのか?

2016.08.29
by gyouza(まぐまぐ編集部)
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仕事、育児、人間関係・・・。何かとストレスを受けやすい現代社会。ストレス解消にヤケ食い・ヤケ酒をした経験がある人は少なくないでしょう。

でも、そのストレス解消法、カラダやココロの健康には効果的なのでしょうか?
詳しくみていきましょう。

「ヤケ食い・ヤケ酒」をしたくなるのはなぜ?

ヤケ食いやヤケ酒は、過度なストレスがかかったときに、これを解消するために食べたり飲んだりすることです。

このふたつの行動には生理的なメカニズムがあります。

ヤケ食いのメカニズム

ストレスを感じているときは交感神経(戦闘モード)が優位に働いている状態です。

ときに脳はバランスを取るために、副交感神経(休息モード)を働かそうとします。そうすることで、身体を修復する働きが活発になり、精神的にもリラックスができるのです。

そして、副交感神経を優位にする一番手っ取り早い方法が、何かを食べて胃を膨らませることなのです。胃が消化をはじめることで副交感神経が活発に働きます。

ヤケ酒のメカニズム

アルコールは「ドーパミン」や「セロトニン」など脳内ホルモンの分泌を促します。

ドーパミンは別名「快楽ホルモン」とも呼ばれ、楽しさや幸福感を生み出す神経伝達物質です。

セロトニンは、不安や恐怖などの感情を抑える働きがある脳内物質です。

また、血圧や心拍を上げるホルモンの分泌を抑える効果もあります。

お酒によるこのような、快楽やココロを安定させる反応のしかたを脳は覚えていて、ストレスを感じたときに、この反応をくり返し求めるのです。

「ヤケ食い・ヤケ酒」の効果

以上から、食べること・お酒を飲むことによって、生理反応としてストレスが解消されるメカニズムはわかっていただけたでしょう。
つまり、このどちらもストレス解消法として有効といえます。

「ヤケ食い・ヤケ酒」の悪影響

ストレス解消法として有効なヤケ食い・ヤケ酒。効果がある一方で、身体にとって悪影響を及ぼすことも知っておかなければいけません。

ヤケ食い

ストレスを感じると「コルチゾール」と呼ばれるホルモンが大量に分泌されます。

コルチゾールは脂肪を蓄積させる働きを持ち、同じものを食べても太りやすくなります。さらに、この場合に内臓脂肪が蓄積しやすいこともわかっています。

内臓脂肪は生活習慣病の原因となり、将来の健康を害することにもつながります。また、食欲を抑えるホルモンである「レプチン」を減少させるため、食欲に歯止めが効かなくなります。

ヤケ酒

アルコールによるココロの満足感や安心感には耐性ができます。そうすると、その感覚を求めるためには、さらにアルコール量を増やすことになります。

過度のアルコール摂取は、カラダにもココロにも悪影響を及ぼします。アルコールを処理するために肝臓に負荷がかかり、脂肪肝や肝硬変などの肝障害のリスクが高まります。

また、アルコールによる「セロトニン」の分泌促進は一時的な反応です。

アルコールを処理するためには、さまざまな栄養素が使われます。そのひとつにセロトニンを作るのに必要なナイアシンがあります。

結果的に、原材料が減る分、セロトニンの分泌量は減ってしまうのです。セロトニンは精神の安定や睡眠のリズムを作る働きをしているため、睡眠障害やうつ病のリスクを高めてしまいます。

結局のところ「ヤケ食い・ヤケ酒」ってどうなの?

一時的にストレスを解消する方法として、食べる・お酒を飲むという行為は理にかなっています。しかし、その解消方法は過度な量や習慣になりやすいため、結果として、身体・ココロどちらの健康も害する影響が大きくなり、おすすめとは言えません。

身体を動かしたり、お風呂に入ったり、好きな場所にでかけるなど、ヤケ食い・ヤケ酒以外のストレス解消法を見つけておくと良いでしょう。

執筆:山本 ともよ(管理栄養士)

 

<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

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