熱中症続出?それでも東京五輪を真夏に開催せざるを得ない「裏事情」

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日本選手の大活躍に沸いた平昌五輪ですが、競技の開催時間については疑問の声も多かったようです。今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌さんが、2020年の「真夏」に予定されている東京五輪について、「今すぐ開催時期を見直すべき」と断言。その理由と、酷暑の時期がなぜ選ばれたのかという裏事情まで記しています。

真夏の東京五輪、見直すべき

大成功を収めた1964年の東京オリンピックに次いで、2回目となる東京オリンピックは2年後の2020年7月24日から8月9日までの17日間、パラリンピックが同年8月25日から9月6日までの12日間にわたって行われることになっている。

56年ぶりのオリンピックの主催とあって国民の期待も大きそうだが、実は最も気になる点は「真夏のオリンピック」となることだ。熱中症などで選手や観客がバタバタと倒れる事態となったら「おもてなし日本」など、全ての評判が台無しとなる。今からでも好天の続く秋かまたは春に変更したらどうかと提案したい

1964年に東京で初のオリンピックを開くことになった時、大会関係者や政府が最も悩んだのは開催期間をいつにするか、という点だった。初日の開会式はもちろん、期間中も好天でしのぎやすい日和の続くことが最優先事項だったからだ。

初の東京オリンピックは10月10日から始めることを決めた。敗戦から立ち直った日本の姿をオリンピックという世界中が注目する舞台から世界に示すのだ、というのが当時の日本人全体の意気込みであり願いだった。実際、東京オリンピックはその後の日本の高度成長へのジャンプ台の役割を果たし、4年後の1968年には国民総生産(GNP)でアメリカに次ぐ世界第二位となっている。

それだけに当時の日本オリンピック委員会は、オリンピック期間と、とりわけ初日の開会式をいつにするかについて国をあげて真剣に検討した。数年間の気象状況を調べ、オリンピック期間中に最も気候が安定、晴天の日が続いて選手や観客が最も過ごしやすい季節と日々を気象庁はじめ学者などが総力をあげて調査したのである。

その結果、「10月10日開会式」が決まったのだ。ところが前日の10月9日は雨模様だった。関係者は「あれだけ調べて一番晴天の確立の高い日を選んだのに…」と深刻な表情で雨空を仰ぎ「明日は晴れますように」と念じたという。

その思いが通じたのか、翌10日は真っ青に晴れ渡りまさに秋晴れのオリンピック日和となった。オリンピック成功の第一条件は何といっても天気だった。会場施設やグランドコンディション、障害者に対する対策などハード面と同時に、主催国国民の受け入れ対応などソフト面のもてなし方なども求められるが、何といっても誰もが気にしたのは気温や湿度、晴天か雨天か──など天気の状況だった。その意味でも主催国、アスリートや観客にとって最も心地よい季節を選択することが最重要課題だったのだ。

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