陸のハロン湾に感動。ベトナム・タムコックの手漕ぎボート洞窟ツアー

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2018/05/14

ベトナム初の「自然・文化複合遺産」として世界遺産に登録された「チャンアンの景観複合体」に属する、首都ハノイから約120km南下したタムコック。ここには、桃源郷を思わせる風光明媚なカルスト峡谷が広がる。

ハノイで日帰りのツアーを申し込み、古都ホアルーを経て訪れたタムコックで待ち構えていたのは4人乗りの手漕ぎ舟だった。タムコックはレンタサイクルでの散策も楽しめるが、ボートトリップが観光の主役だ。心して乗らないと転覆しそう…とおそるおそる乗船した小さな舟(ツアーで一緒になったカナダ人とタイ人が同乗者だ)が穏やかなタムコック川の水面を滑り出し、全長6kmのボートトリップが始まった。

ハノイの喧騒を離れ、水上の静寂の世界へ

舳先の近くに腰を下ろし、船着場が見えなくなるにつれ、耳に入ってくるのが虫や鳥のさえずり、船のオールが刻む水の音だけになった。数時間前にはバイクのクラクションが鳴り止まないハノイの喧騒に身を置いていたことを思うと、この峡谷がいかに人工やテクノロジーといったものとは真反対にあることを痛感する。

風が頰を撫でつけ、さまざまな光景が次々と視界に映し出されていく。水田で農作業する女性たち、彼女らが舟に積んで運ぶ若草色の稲の山、そして川沿いの道には小さな祠が見え、その脇では草を食む牛や山羊の姿も。のどかだ。時折、観光客を乗せた復路の舟ともすれ違う。川幅は広いところで50mくらいだろうか。

山水画のような絶景に息をのむ

石灰岩の山々が川沿いにニョキニョキとそそり立つ、山水画のような風景が目の前に広がった時には、その絶景に心を締めつけられそうになった。
実はタムコック周辺は石灰岩質の地盤で、長い年月をかけて隆起沈降を繰り返し、雨や海水などの浸食が加わったことで、このような景観が生まれたという。海上で石灰岩の奇岩が景勝を作っていることで知られるハロン湾が、陸に舞台を移したかのよう。それが「陸のハロン湾」といわれるゆえんだ。

頭上すれすれの洞窟探検

ベトナム語で「3つの洞窟」を意味するタムコックでは、ボートで鍾乳洞をすり抜けるスリリングな場面もある。頭上の石灰岩と川面がギリギリに迫った洞穴に突入する瞬間、身をかがめて心の中で助けを求めたほどだ。しかし、何ごともなかったかのように漆黒の暗闇のなか、舟は静々と進んでいった。同船の皆は押し黙り、櫂が水面を打ちつける音だけが洞穴に鳴り響く。暗闇と水が生み出す幽玄で瞑想的な空間にいるだけで感覚を研ぎ澄ませるエクササイズになりそうだ。

ボートトリップの所要時間は約2時間。タムコックへはハノイから古都ホアルーの観光とセットになった日帰りツアーがあり、30USドル~が相場(英語ガイドの場合)。ホテルでツアーを頼んでもよいし、直接地元の旅行会社で頼むのもOK。数は少ないけれど日本ガイドの付くツアーもある。たいていハノイを午前8時頃に出発し、夕方には戻ってくるスケジュールだ。

  • タムコック ボートトリップ
  • ハノイから古都ホアルーの観光とセットになった日帰りツアーがあります
  • 日帰りツアー料金:30USドル~が相場(英語ガイドの場合)
  • ハノイを午前8時頃に出発し、夕方には戻ってくるスケジュールで、ボートトリップの所要時間は約2時間
  • image by:御田けいこ
  • 掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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人生の設定は「いつでも、どこでも、食いしん坊バンザイ!」。人に会い、土地を歩き名物にふれ、郷土の味をあじわいつくす、をテーマに今日もどこかを踏みしめ歩いています。広島県生まれ。

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