米国の高齢世代で「死ぬまで働く」という人が増えています。決してポジティブな理由ではなく、若手不足で仕事を辞められず、自殺者が増えているのが現状です。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年7月19日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
15年前から収入が増えず。高齢農家を襲う終わりのない苦しい現実
85歳以上でも隠居できない
米国の85歳以上の高齢世代で、「死ぬまで働くつもり」という考えを持つ人が過去最高の数になったようです。海外の報道を翻訳しながら、ポイントを解説します。
オリジナル記事のトップには、「妻の医療費を賄うためにトラック運転手になろうか」と考えているオハイオ州在住の87歳男性の写真が載っています。
現在の80歳は、ひと昔前の70歳に相当する。つまり、今の高齢者は85歳でも労働意欲は高い。
過去12ヶ月間に働いた85歳以上の米国人は25万5000人に上り、これは史上最高レベルである。
85歳以上の高齢者総人口の4.4%が働いていることになる。リーマンショック以前の2006年には2.6%だった。
高齢者世代の労働分類は、警備員、農業従事者、牧場労働者、長距離トラック運転手など多岐に渡っている。
2016年の人口統計によると、85歳以上のトラック運転手は2,000人前後であり、リーマンショック以降で約2倍に増えている。
出典:同上
ニート化する子どもたちと、引退できない親
米国の団塊世代およびその親世代は、長寿化・年金額の減少・実労働軽減などの理由で、現役引退の先送りが進んでいる。
米国労働省のデータでは、55歳以上の各年齢層では、実際の労働従事者も増えただけでなく、さらに求職者も増えている。
反対に30歳以下の年齢では、1960年代では見られなかった両親との同居をして働かない若年世代人口が増加している。
1960年代とは、未だ女性が労働市場に入って来なかった時代である。それを考えると大きな変化だ。
出典:同上
次に、85歳以降の高齢労働者がどんな仕事に就いているのかを見ていきます。これを知れば、米国経済の大きな歪みが見えてきます。
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