アベノミクスでの雇用改善も経済成長も全部まやかしです。なぜ私たちの賃金は上がらないのか。企業が内部留保に励まざるを得ない理由とともに解説します。(『カレイドスコープのメルマガ』)
※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2018年8月28日第267号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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雇用改善は真っ赤なウソ。なぜ私たちの賃金は上がらないのか?
あたかも「成長しているかのように見える」日本経済
これまで当メルマガで説明したように、アベノミクスとは、すでに破産状態にある米国のドルを買い支えるための「円安ドル買い政策」のことです。
アベノミクスは、そもそもが経済政策ではないのですから、日銀頼み金融政策によって、その成果を横取りするだけのサギノミクスであることは明らかです。
兜町や外資、そして当の日銀でさえ、一刻も早くアベノミクスを終わらせて金融秩序を取り戻さなければ、「失われた20年どころか」、それこそ永遠の0に収斂されていくことを理解しているのです。
安倍内閣は、2016年にGDPの算出方法を変更して、武器の購入費、研究開発投資までもGDPに算入して水増をやっています。つまり、自分たちで都合の良いルール変更を行って経済指標を「つくっている」のです。
だから、2016年以降のGDPは、これら調整分を加えて毎年5兆円ずつ上乗せされていくので、GDPの算出方法の変更前である2015年ベースと2018年ベースとを比較すると、あたかも日本の経済は成長しているかのように見えているのです。
実態は、「まったく成長していない」どころの話ではなく、日銀の量的金融緩和によって円の価値が大きく棄損されてしまったため、国内経済はどーんと弱くなってしまったのです。
表面化してきた世界的な「消費不況」
アベノミクスの本当の目的は、ドルを買い支えて米国の経済崩壊を一日でも先送りすることですから、日銀は国債を果敢に買い入れて、ひたすら円を刷りまくって急激な円安にしなければならなかったのです。
急激な円安に誘導することによって購買力平価による為替操作がやりやすくなり、見かけ上GDPが増えたかように見えるのです。じわりじわりマネタリー・ベースだけを増やしても効果がないので、一気に円安にしなければならなかったのです。
しかし、国内外ともに実質消費が横ばいか、むしろ減っているので、輸出の実数は大して伸びていないのです。つまり、世界的な消費不況の兆候が徐々に表れてきたということです。
安倍首相は雇用改善をアピールするが…
安倍首相は、アベノミクスの成果として、有効求人倍率がアップしたことを強くアピールしています。しかし、これも正しい表現ではありません。
日本が労働力不足に陥っている最大の原因は、団塊の世代が大量にリタイアしたため、職を探す求職者の数が急激に減っているからです。
厚生労働省の労働局や各府県の労働局が算出している有効求人倍率は、企業の求人数(分子)を求職者数(分母)で割り算して出した数字です。
この20年で、15歳から65歳までの、いわゆる生産年齢人口は約一千万人減っています。
2012年から2016年の4年間だけをとってみても、労働人口は400万人も減っています。それでは、期待できる若手の正規雇用が増えているかと言えばそうではありません。