ふるさと納税の規制・貿易交渉での日米首脳会談・日本ライフライン株等

■ふるさと納税の規制・貿易交渉での日米首脳会談・日本ライフライン株等

●当初の100億円が3653億円まで増えた「ふるさと納税」寄付金

 野田聖子総務相は9月11日、「ふるさと納税」制度を抜本的に見直すと発表しました。ふるさと納税とは、納税者が任意の都道府県や市区町村に寄付をすると税優遇を受けることができる(寄付金から2000円を引いた全額が納税者自身の所得税や住民税から控除される)というものです。寄付金での地域活性化を狙いとするこの制度がスタートしたのは2008年度ですが、当初100億円にも満たなかった寄付金の総額は2017年度には3653億円まで膨れ上がりました。

 寄付金が増えた最大の理由は、寄付をした納税者への返礼品競争が自治体間で盛り上がってきたからです。どの自治体に寄付をすればどんな返礼品をもらえるかという民間の比較サイトがネット上に増えてきたことも返礼品競争に拍車をかけました。納税者は比較サイトに掲載される各自治体の返礼品を見て、寄付をする自治体を選ぶことができるようになりました。

 だから当然、自治体側も納税者を惹きつける返礼品を用意して寄付金を多く集めようと考えます。その結果、返礼品が高額化していったのですが、これを問題視した総務省は2017年4月、各自治体に「返礼品の金額を寄付金の3割以下に抑えて、地場産品以外は返礼品にしないように」という大臣通知を出したのでした。しかし今年9月時点でも全国の約14%の自治体では返礼品の金額が寄付金の3割を超えています。そのため総務省も業を煮やし、ふるさと納税制度を抜本的に見直すという野田総務相の発表に至ったのでした。

 この発表のとき、野田総務相は「過度な返礼品を送付し制度の趣旨を歪めているような自治体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるように制度の見直しを検討する」と述べて、自治体の返礼品の金額が寄付金の3割を超える場合や、返礼品が地場産品でない自治体への寄付は税優遇の対象から外すという方針も示しました。この方針に沿って与党税制調査会で詳細を詰め、2019年の通常国会に地方税法改正案を提出し、早ければ2019年4月からの施行を目指します。つまり、総務省の指示に従わない自治体は法律で締め上げるということです。

●裏をかいてふるさと納税の規制を骨抜きにする自治体が必ず現れる

記事の新規購入は2023/03をもって終了しました