「どんなに練習しても才能がある人間には叶わない!」との声をよく聞きますがそれは果たして本当でしょうか? 今回の無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が、最終的な実力や成果は、才能×練習×練習(練習の2乗)で決まること、そして続けることの大切さを説いています。
成果は、練習の「2乗」。
前回、「イラストレーターに『タダで絵を描いて』問題は、なぜNGなのか?」という記事では「1万時間の法則」について話しました。
どんなプロでも1万時間練習していた。すなわちそれ以下の練習時間でプロになった人間はいなかった
という話でした。すなわち「才能」ではなく、結局「継続力」。ただただ、それを続けている人間こそがプロとして大成していくわけです。
しかしそう言うと、「でも才能だって関わってくるじゃないか! どんなにやっても才能がある人間には叶わないだろう!」と反論をする方がいます。確かに才能がまったく無関係だと断言するつもりはありません。しかし、才能だけですべてが決まるわけではないのです。それよりずっと重要なのが「継続」なのです。
実は最終的な実力や成果は、
- (才能)×(練習)×(練習)
で決まるとされています。すなわち、(練習)こと行動の「2乗」。才能も関係はしますが、練習によってどんどん積み重なっていきます。
たとえば才能が3、練習が2の人がいたら、「3×2×2=12」の成果になります。ここで才能が1の人がいたとしても、練習を倍の4やれば、「1×4×4=16」で、ずっとずっと高い成果につながるわけです。
当たり前のことをできる人は。
とはいえ、「それでも俺は継続できないんだ!」「どうやったら継続できるか教えて!」という意見もあがることでしょう。実は心理学では、そのヒントがあります。ハミルトン・カレンジの社会心理学者ダニエル・F・チャンブリスは、6年に渡って競泳選手たちについて調査。地元の選手からオリンピック選手まで、多くの人たちに取材したところ、その実力の「秘訣」が分かったのです。
その答えこそが、特別な才能でも何でもなく、「小さなことを、コツコツと積み上げることこそが重要」だったそうです。
うん。いや、それは分かってるわけですよね。同感です。彼自身、このことを論文にして同僚に読んでもらったところ「当たり前じゃん? 面白くないよね?」と言われたそうです。切なすぎです。
しかし、そのあとの彼がたどりついた内容こそが、その真骨頂です。その「コツコツ積み上げていくことができる人」は、「とにかく一つの目的に向かって『ありとあらゆる手段』を利用して行動する」ということが分かったのです。意味、分かりますでしょうか。
すべてを利用してしまう。
「ありとあらゆる手段」というのはシンプルです。
たとえば勉強していたら、誰かに悪口を言われた。そのときに、「あぁ、悪口を言いたくなるほど自分の成績は上がったんだ! もっと頑張るぞ!」とか、「確かにあの悪口の内容も、理解できる部分があるな…。よしっ! その内容を取り入れて、もっとこう勉強してみよう!」なんて風に考えます。
他にもたとえばカゼを引いたら、「あぁ、カゼっぽい…。これ、明日にはもっと悪くなるかもしれない…! だったら今日のうちに、あと少しだけ勉強しておこう…!」などと考えます。
すなわち、「すべてを前に向かうエネルギーにしてしまう」わけです。結局、考えようです。事実は事実として変わりませんが、そこにどんな意味づけをするかは本人次第です。
これが、「何も継続できない人」は、まったく逆です。
悪口を言われたら、「あぁ、悪口が気になって、勉強が手につかない…!」「どうせ勉強して成績が良くなっても、悪口を言われてる環境だから意味がない…!」なんて考えます。もちろんカゼを引いたら、「カゼを引いたから、勉強なんてできるわけがない…!」と思って何もしません。
そう。「すべてを、やらない理由づけにしてしまう」わけです。
この差こそが、継続する人(=成功する人)と、継続できない人(=成功できない人)の最大の違いなのです。
成功した人だって、別に悪口を言われないわけではありません。カゼだって人並みに引くでしょう。環境に大差なんてないのです。ただそこで、「風が吹いてきた! と止まる」か、「船の帆をかけかえて、追い風にしてさらに進む」か。それだけの違いなのです。
アドラー心理学でも…!
かのアドラーが提唱した「アドラー心理学」でも同じようなことを語っています。
アドラー先生は「原因論」を否定し、「目的論」を重視します。すなわち「○○だから勉強できない」という人は「そもそも勉強したくないという目的があり、そのために○○を使っているだけだ」というわけです。
よって理由なんかよりずっと重要なのは、「とにかくやりたい」という気持ちを先にすることなのです。
今回のまとめ
・成功のために重要なのは「継続力」
・そしてそのためには「ありとあらゆるもの」を材料にして、継続のためのエネルギーにしてしまうこと!
というわけで、いかがでしたでしょうか。
まさに! ボロボロの木が来ようが、プラスチックが来ようが、生ゴミが来ようが! すべてを「燃料」にして飛んで行くロケット! それこそが成功者なのです!
「最高級の備長炭が来ないかぎり、燃やすことができない!」なんてゼイタクを言うのは、もうやめましょう。すべての条件がカンペキに整うことなんて、今後一生ありえません。進むのは、今この瞬間しか、ないんですよ。
ちなみに自分は毎日、空想だけは継続しています。
- (空想)×(練習)×(練習)
を積み重ねることによって、ついに空想を現実ではないかと錯覚することができるまでに至りました。
- (空想)×(練習)×(練習)=妄想
です。「実現」とか「成功」とかでなく。ダメな計算式であることを重々感じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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