ビットコイン価格が大きく下落し、仮想通貨の夢が終わろうとしている。マイニングの赤字化が原因との指摘とともに、実存的危機に直面しているとの声が出てきた。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)
※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2018年11月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。
仮想通貨はベースボールカードのようなもの。売買が減れば暴落へ
マイニング事業が赤字に転落
久しぶりに仮想通貨の話題に触れる。大きな変化が見られるようになったからだ。
ブロックチェーン・ドット・コムによれば、ビットコインのマイニングに利用されるコンピューターの計算力を測る指標のハッシュレートは、過去最高だった8月末から11月24日までに約24%低下した。
ニコラオス・パニギリツオグル氏らJPモルガンのストラテジストは23日付のリポートで、ハッシュレートの低下は「一部の採掘業者で採算が取れなくなる水準にまで価格が下げたことを示唆している」と指摘した。
価格が採掘業者のコスト(電気代やマイニングリグの効率性など)と照らした損益分岐点を下回り続けた場合、業者は事業の閉鎖を迫られる可能性がある。
ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの16日付リポートによれば、仮想通貨マイニング用半導体の設計などを手掛けるビットメインのマイニングリグ「アントマイナーS9」を利用した1ビットコインの採掘の損益分岐点は7,000ドルと推定される。ビットコインはニューヨーク時間26日午前5時35分時点で3,912ドル。
ビットコイン、存続の危機か
また、バロンズ誌は「ビットコイン、実存的危機に直面」とリポートした。
1年前、ビットコインは米国中の感謝祭ディナーのテーブルで話題の的だった。その祭日の週のわずか3日間で10万人以上が、米国最大の仮想通貨取引所を運営するコインベースで新たに取引口座を作ったという。
ボストン大学で金融工学を教えるマーク・ウィリアムズ教授によると、昨年には大学生が暗号通貨に夢中になっていて、100人ほどいた同教授のクラスの学生のほとんどが、その学期の研究テーマに暗号通貨とブロックチェーンを選んだという。
ところが、『最近はロボアドバイザー事業やピア・ツー・ピア(P2P)レンディング(資金を借りたい人と貸したい人を主としてネット上で結び付ける融資仲介サービス)が人気のある研究テーマで、クリプト(暗号)と関係あるものは、まるでクリプトナイト(スーパーマンの弱点として知られる物質)のように避けられている』と同教授は明かした。
ビットコインは今、実存的危機に直面している。取引したい人がいなくなったらどうなるのか。それまでは機関投資家の取引が増加することで高値を更新すると見込まれていた。
出典:【バロンズ】ビットコイン、実存的危機に直面 | The Wall Street Journal発 – ダイヤモンド・オンライン(2018年11月28日配信)
一方で、強気な意見もある。