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毎月勤労統計のズル報道が、市場に影響ゼロ。日本の経済指標に相場が反応しないワケ=高梨彰

毎月勤労統計調査のズルがメディアで取り上げられていますが、日本市場の反応はなし。アメリカも中国も指標に反応があるのに、日本だけしないのはなぜでしょう。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2019年1月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

アベノミクスを批判するよりも、経済指標を見るべし

日本の経済指標に金融市場の反応は限定的…

毎月勤労統計調査が、2004年から「ズル」をしていたと批判されています。雇用保険等にも影響が出るとのことで、国会もメディアも色めき立っています。

マーケットでも、真面目なエコノミストほどカンカンです。経済分析の元となるデータの作成方法が根っこから違っているのですから。腐心して分析し、発表したレポートが役立たずにもなんてアイデンティティにも関わってきます。

でも、金融市場の反応は限定的…というか、まったくありません。「日本の経済統計への不信が高まれば、株安・円安・債券安のトリプル安も」なんて論調も出つつあるのとは対照的です。

なんでかといえば、日本の経済指標が市場に注目されていないためです。「デフレ脱却のために日銀だって雇用データは注目している。そんなの嘘だ」との批判があるかもしれませんが、価格が反応しないのですから仕方ありません。

これは毎月勤労統計に限った話ではありません。注目度Aランクの日銀短観にしても、発表直後の反応は限られています。

対して、米国市場では経済指標発表直後に相場が動き出すことがしばしばあります。中でも雇用統計は今でも市場の注目が高く、発表後には(一時ほどではないですけど)値幅を伴った動きをすることがよくあります。

この違いは何なのでしょうか。

一つだけ理由を挙げるならば、経済指標・統計に対する当局の反応の差があるかと。「データが改善したから利上げ」「悪化したから利下げ」など、素直な反応をFed(Federal Reserve:米連銀)や米国の財政当局が示してきた歴史的経緯が大きいのではないのでしょうか。

Next: 日本の経済指標は、米国と比べてなぜ市場が反応しないのか

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