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次の政府転覆はベネズエラ?米国主導で現政権を倒しても、決して良くならない事実=矢口新

ここ十数年のうちに多くの政府が転覆させられるのを見てきた。いずれも背景に米国がいるのは、米国が一強だからだ。そして、次の国はベネズエラになりそうだ。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2019年1月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

いつも「転覆させた側」の見方で報道される。過去には日本も…?

政府転覆の影にはいつも米国

ここ十数年のうちに、我々は多くの政府が転覆させられるのを見てきた。

アフガニスタンとイラクは、米国主導の諸外国が戦争まで仕掛けたものだが、ウクライナ、ジョージア、リビア、エジプトなどは米国支援の反政府勢力がクーデターによって、親米政府を作り上げた。

同じような展開が、今度はベネズエラで起きようとしている。

いずれも背景に米国がいるのは、米国が一強だからだ。他のどの国も真似することができないのだ。

米国が、ベネズエラ野党代表を暫定大統領として認定

ベネズエラのマドゥロ大統領は1月23日、米国と国交を断絶すると表明、同国駐在の外交官に72時間以内の国外退去を求めた。

これはトランプ政権がベネズエラの野党指導者フアン・グアイド国会議長を暫定大統領として承認したことを受けた動き。フアン・グアイド氏は米国で教育を受けている。

トランプ米政権は23日、ベネズエラの野党指導者フアン・グアイド国会議長を暫定大統領として承認すると同時に、主要産業である原油部門に新たな制裁措置を導入する可能性があることを示し、同国のマドゥロ政権に対する圧力を強めた。

ベネズエラでは、マドゥロ政権に反対するデモが全国的に拡大。

こうした中、トランプ米大統領はマドゥロ政権は「非正統」であるとし、グアイド氏を暫定大統領として承認すると発表。声明で「米国の経済、外交力を最大限に利用し、ベネズエラの民主主義の保全に向け圧力を掛ける」とし、他の国に対してもグアイド氏を暫定大統領として承認するよう呼び掛けた。

ポンペオ米国務長官も声明でマドゥロ政権に退陣を求めると同時に、同国の軍隊に対し民主主義の保全に向けた動きを支持するよう呼び掛けている。

ベネズエラ産原油から攻める米国

こうした中、ベネズエラの政治情勢が一段と悪化した場合、米政府はマドゥロ政権に一段の圧力を掛けるために週内にも同国の石油産業に対する新たな制裁措置を導入する可能性があることが複数の関係筋の話で判明。

ベネズエラ産原油の米国への禁輸措置などが検討されているとしている(編注:米財務省は28日、ベネズエラの国営石油会社PDVSAを経済制裁の対象に指定したと発表。PDVSAは70億ドル規模の資産が凍結される見通しとなっている)。

ただ米政府は現時点ではベネズエラで続いている抗議活動を注視しており、まだ最終的には何も決定されていない。ラテンアメリカ諸国に続いて、カナダもグアイド氏を暫定大統領として承認する見通しだ。
※参考:Maduro rival claims Venezuela presidency amid protests, U.S. support – Reuter (2019年1月23日配信)

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