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世界景気の鈍化は明白、想定以上の水準まで上げた米国株安のリスクを示す3つの指標=江守哲

先週までの米国株は想定以上の堅調さをみせました。しかし、様々な指標や世界の経済・政治的リスクが株価の天井を示しています。その詳細を確認しておきましょう。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2019年2月18日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

大統領選を控え、自らを追い込むかのように見えるトランプ大統領

米中貿易協議の継続を好感し、引き続き米株は堅調に推移した

米国株は想定以上の堅調さです。米国株は米中貿易協議が翌週も継続することが発表されたことで、貿易摩擦緩和への期待から15日の市場で大幅反発となりました。

ダウ平均とナスダック指数は8週間連続の上昇で、S&P500は4週連続で200日移動平均線を上回りました。

米中両政府は北京での2日間の閣僚級貿易協議を終えました。ホワイトハウスは声明で「進展があったが多くの課題が残った」との見方を示すと同時に、翌週ワシントンで協議を再開すると表明しました。

交渉延長が決まったことで貿易摩擦解消への期待が高まり、中国市場への依存度が比較的高い銘柄に買いが入っています。

トランプ大統領が新たな予算案に署名し、一部政府機関の再閉鎖が回避されたことも株価を押し上げています。

一方で、トランプ大統領はメキシコ国境からの不法移民流入について非常事態を宣言すると発表。しかし、政府閉鎖が回避され、国民生活への影響も少ないとみられ、非常事態宣言の市場への影響は限定的となっています。

米中両政府は閣僚級貿易協議で、3月1日の交渉期限を前に「覚書」取りまとめについても話し合ったもようです。ただし、難航する中国の構造改革問題などで溝を残しました。今週ワシントンで次官・閣僚級協議を再開します。

新華社通信によると、中国の習近平国家主席は、閣僚級協議を終えた米代表団のライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官らと会談しました。

習国家主席は「双方にとって受け入れ可能な合意を望んでいる」と強調する一方、「協力には原則がある」とし、米国側の一方的な要求には応じない考えを示唆しました。

ライトハイザー氏らは「重要かつ困難な問題で新たな進展があった」としつつも、「まだすべきことが数多くある」としています。

これまでの協議で、中国は知的財産権の侵害や技術移転の強要などの構造問題に対する米国側の要求に慎重姿勢を貫く一方、米国産品の輸入拡大では一層譲歩する意向を示したとみられます。

中国は米国製半導体製品の購入を増やす提案

ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国製の半導体製品の購入を今後6年間で2,000億ドル増やすと提案したと報じています。新華社は、米中が「主要な問題で原則的に意見が一致した」と言明したと報じています。

米国は期限内に合意できなければ、中国からの輸入品2,000億ドル相当に対する追加関税率を10%から25%に引き上げる方針を表明していますが、協議進展を条件に期限の60日延長に応じる可能性も伝えられており、米中首脳会談を開いて決着を図るとの観測が浮上しています。

中国は自国の特定産業を不当に優遇する補助金を終了する方針も提示したもようです。ただし、行程表は明らかにしておらず、米国は懐疑的とされています。

米国は、中国による是正策の実施状況を検証する仕組みの導入も要求しました。中国は検証の受け入れに難色を示しており、履行に向けた仕組みの策定にとどめたい考えとみられています。

一方、トランプ大統領は中国との貿易協議について「非常に順調」との認識を示しています。そのうえで、3月1日の交渉期限が「もしかすると延長されるかもしれない」としています。さらに、中国の習近平国家主席との会談に改めて意欲を示しました。

米国による対中制裁関税については「中国経済をひどく傷つけてきた」とし、「取引が成立すれば、関税を取り除くこともいとわない」として、協議の進展次第で制裁関税の撤回に応じる考えを示しました。

トランプ大統領は、次回協議が終わった後、「しばらくして」習主席と会談するとの見通しを示しましたが、具体的な時期は示していません。

Next: 大統領選を控え、トランプ大統領が抱えるリスクとは?

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