まもなく始まる2回目の米朝首脳会談。前回のように「歴史的対話」「会うことに意味」では済まされず、具体的な成果が求められます。その落とし所を解説します。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年2月25日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
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北朝鮮の金委員長は陸路ハノイへ
27日からの米朝首脳会談出席に向けて、北朝鮮の金正恩労働党委員長は23日午後、ピョンヤンを出発、陸路ハノイに向かいました。およそ4,500キロの旅となります。
もともと飛行機が嫌いと言われる金委員長ですが、前回シンガポールでの会談に出席した際には、シンガポールまでの航続距離を持つ飛行機がなく、中国機を借りる羽目になりましたが、同時にトランプ氏とともに「暗殺」を企てる集団がいたともいわれます。
今回は安全を期して、装甲車よりも強く、執務にも支障のない全てそろった特別車での旅を選択したと言われます。
しかも、前例に反し、事前にこれをオープンにし、国内外に出発の模様を伝えました。ここまでオープンにれば、却って暗殺計画もやりにくくなるとの狙いもありそうです。
米朝の事情と落としどころ
2回目となる今回の米朝首脳会談、前回のように「歴史的対話」「会うことに意味」だけでは済まされません。
米国内からは非核化に向けた具体的な「成果」が求められ、大統領再選を狙うトランプ氏にしてみれば、国民に「成果」を訴えるものが必要になります。
一方、北朝鮮は核兵器の保有は当面欠かせず、全面放棄は体制崩壊につながります。
この両者の事情を考えれば、トランプ大統領が言うように、時間をかけて段階的に進めるしかなく、今回の会談で終了ではなく、長期戦を覚悟しています。
在韓米軍の縮小は議論しないと言っているので、終戦協定、平和条約までは進まないとの読みがあります。
北朝鮮としては、米国に影響するICBMの廃棄や核実験場の査察受け入れ、廃棄などは選択肢になります。