ペイペイの1億円あげちゃうキャンペーン以降、各決済サービスのポイント還元戦争が過熱している。この先にキャッシュレス化の普及・拡大はあるのだろうか。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)
※本記事は。『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2019年2月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
キャッシュレス比率20%→45%への拡大は成功するのか?
「ポイント」でしか考えられない
先日、繁華街の大型書店で本を買った。週末だったせいか店内は混んでおり、レジの前には長い列ができていた。
私もしんがりに並んだのだが、横の壁に「楽天ペイ使えます」と書いた張り紙があって「楽天はがんばっているな」と心の中でつぶやいた。
ところが、その下に「dポイントやPontaポイントもたまります」とステッカーが貼ってあるのを見て、心の中にある感情が湧いてきた。
そのときまではいつものように交通系電子マネーで決済しようと思っていたのだが、それではポイントは付かないので、お得にはならない。
ここはちょっと冒険して最近ダウンロードしたばかりの楽天ペイを使ってみよう、ついでにdカードゴールドを持っているので、dポイントも貯めてみようと決心した。
そして、急いでスマホのアプリを立ち上げ、財布からはdカードゴールドを取り出して支払いの準備をした。
そんなことをいろいろやっていたら、あっという間に列が進んでレジの前にいた。「お得の取り方」を考えていると時間の経つのがとにかく早い。ほかにもあれこれ考えたいと思っていたのだが、もうそんな時間はなかった。
「QRコード」はお得を取る道具であり、熊手のようなもの
QRコード決済が登場してからは、このようにいかにポイントをたくさん貯めるか、あれこれ頭を悩ますようになっている。
2月にはPayPayが2回目の「100億円あげちゃうキャンペーン」で20%還元を再開したし、OrigamiPayは吉野家やケンタッキーフライドチキンで一定額以上の買い物をすると半額になる期間限定キャンペーンを行った。
コード決済と呼ばれる多くの決済が、ポイント付与や割引でこれまでにないサービスを提供し始めている。
私は、コード決済をクレジットカードや電子マネーとは違う、「お宝を集める熊手」のようなものだと割り切るようになってきた。要はポイントや割引などの特典を集めるための道具なのだ。
そして、そのために有利になるクレジットカードやプリペイドカードは何なのかを、真剣に考えるようになった(今後はそれが、これまでの還元率に代わるカードの価値を決める尺度になるのではないだろうか)。