700年に及ぶ金価格のグラフを見てみると、これまで気づかなかった事実が浮き彫りになってきました。金本位制にはもう戻ることができない理由について解説します。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2019年3月14日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
もし国民全員が金兌換を要求したらどうなるのか
700年に及ぶ金価格のグラフと英国消費者物価指数を比較
こんな長期の金価格のグラフは初めて見ましたので、紹介致します。
(ア)長期の英国での金価格(英国ポンド建て)と英国の消費者物価指数(英国ポンド建て)のグラフです。期間は1209年から現在までとなっています。
青色折線グラフの英国消費者物価指数については、セントルイス地区連銀は2015年を100とした指数で表現しています。
黄色折線グラフの英国金価格は、同じ期間の金価格の推移を示しています。縦軸は1オンス金貨の英国ポンド建て価値です。
1930年頃から、それを金価格も消費者物価指数も完璧に正の相関関係で重なり合って上昇しています。これは1931年のスターリングポンドの金兌換制度廃止の時期です。
(イ)セントルイス地区連銀の英国消費者物価指数だけの1200年頃から、現在までの期間の推移です。1970年頃から全世界が変動相場制に移行しました。それに伴い金価格も物価指数も上昇。
(ウ)は(イ)と同じグラフですが、期間を1900年から現在に設定し直したものです。消費者物価指数は怒涛の時代の1920年頃に上がり、その後、1930年代の不況期には少し下がり、第二次世界大戦後頃から上昇し、1970年になると急上昇となり現在は、少し納まっています。
この約700年間のグラフからわかる重要なことは、金貨は物価上昇に対する抵抗性を保有しているということです。金融動乱に対しての逃避地帯であるだけでなく、ハイパーインフレに対しても、耐力のあることが判ります。
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