内閣府が中高年の引きこもりが推定61万3,000人と発表して話題になっています。ただ、社会デビューに失敗した若者と、現在増加中の中高年では実態が異なります。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年4月1日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
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若者と中高年の「引きこもり」はまったく異なる
発表内容が嘘か本当かわからないことでお馴染みの内閣府が、中高年の引きこもりが推定61万3,000人いるとの調査結果を発表してかなり話題になっています。
無作為抽出とはいえ、3,000人ばかりの調査でここまでの数字を推計して本当にいいのかという基本的疑問は相変わらず残るわけですが、以前にも50万人以上の中高年が引きこもり状態にあるという調査結果があるわけですから、内閣府の調査といえども実態に近いところを示しているものと思われます。
ただ、学校を卒業することができず社会にデビューする機会もないままに年をとってしまった若者の引きこもりと、ここで指摘されている中高年の引きこもりは、かなり実態が異なるものなのではないかという違和感を強く感じる次第です。
中高年が仕事を失い絶望して金もなく外にもまともに出られない厳しい状況を、単純に「引きこもり」として扱うのは、実態や当事者のインサイトとはかなり異なるものとなっていることが感じられ、アベノミクスがまったく解決できなかった国内経済と社会構造の問題をむしろ浮き彫りにした結果であるとみることもできるのです。
いずれにしてもこの想定数値に対して深い洞察と精査が必須であると言わざるを得ない状況です。
中高年引きこもりの75%が男性で、仕事を退職した存在
この調査結果で非常に気になるのは、40歳から64歳の引きこもりの75%が男性であり、過去にしっかりとした就業経験がある人がもっとも多いという点です。
確かに就職氷河期で、新卒から就職に失敗してそのまま気が付いたら引きこもりのまま40代になったという人もそれなりの含まれているようです。
問題は、サラリーマンであったのに何らかの要因から退職を余儀なくされて、次の仕事が見つからずにそのまま職探しをあきらめて仕方なく引きこもりに追い込まれている人たちが実際にはかなり含まれているのではないかということです。