先週は新元号「令和」の話題で一色だったが、韓国経済ではサムスン電子の決算という大きな動きがあった。今回は同社の危機的状況について解説したい。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年4月7日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
半導体特需の終了で大ピンチ。スマホ製造だけでは生き残れない…
「業績は悪い」異例の事前発表
先週の日本の報道は新元号「令和」の話題で一色だったが、韓国経済ではサムスン電子の決算という大きな動きがあった。今回はこれについて解説したい。
韓国のサムスン電子といえば、半導体特需で大儲けして、株価が2倍以上、毎回、営業利益は1兆円以上など、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
それが昨年の秋頃から半導体需要が落ち着いてきて、半導体価格も軒並みに下落した。
しかも、売上は7兆1,000億ウォンとする市場予測よりも「さらに悪い」とサムスン電子が異例の事前発表をするぐらいだった。この時点で、7兆1,000億ウォン以下の決算ということは確定していた。
私はこの手のニュースをずっと注視してきており、当メルマガでも触れているので、皆さまも半導体の特需が終わったことはご存じだろう。
そして今回のサムスン電子の決算で、半導体特需の終焉がどれだけサムスン電子に打撃を与えたかが数値として出てきた。
それでは、一体、サムスンの営業利益はいくらになったのだろうか。
営業利益は前年同期比60.9%減の6,090億円(2019年1月〜3月)
サムスン電子の2019年1月〜3月の営業利益は、前年同期比60.9%減の6,090億円となった。これはピーク時の1兆7,570億円と比べて3分の1程度である。
もっとも、6,090億円でも普通の大企業では届かない数値なのだが、昨年と比べると恐ろしく利益を減らしている。
これを見る限りでは、半導体の特需は終わって、適正価格から、下落へとシフトしている。
やはり、これはiPhoneの低迷を代表とするスマホ需要の減少が効いていると思われる。スマホ価格の高騰化、進化の限界で買い替え需要そのものが減っている。前なら1年ごとにスマホを買い換えていた人が多かったわけだが、最近は3年以上同じ機種を使うというのが増えてきているようだ。