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自殺時に生命保険金が払われる場合と払われない場合まとめ

皆さんは生命保険と自殺の関係性について詳しくご存知でしょうか。

日本では年間に数万人を超える人が自殺をしており、これは社会問題としても注目されています。内閣府、平成25年中の自殺者の内訳によると、自殺の原因は主に、健康問題、経済・生活問題、家族問題が多いとされています。

保険においての自殺というと、死亡保険金を目的とした自殺が浮かびます。借金の返済をするために自殺をするとか、家族の生活資金を確保するために自殺を図るとか、さまざまな要因が考えられます。

しかし保険法では基本的に、自殺に対しては保険金を支払わなくていいという風になっています。しかし被保険者が、保険金を目的に自殺をしたのではない場合はどうでしょうか。例えば仕事に悩み鬱になってしまい、冷静な判断ができない状態で自ら命を断ってしまった場合などは状況が複雑です。

そういった場合は保険金が支払われることもあります。今回は生命保険において自殺はどういった扱いになるのか、また保険金が支払われる・支払われないのはどういった場合なのかを見ていきましょう。

自殺者の推移と生命保険の免責期間

平成26年1月〜11月の累計自殺者数は23,579人(警察庁:自殺者数の年次推移)と、年間に2万人を超える人々が自ら命を断っています。また平成21年〜25年度の自殺者数を表すのが以下のグラフになります。

平成21年度から比較すると減少傾向にはありますが、過去には3万人を超える人々が自殺をしていたことが伺えます。

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参照:警察庁|自殺者数の年次推移

保険会社は保険金を目的に自殺を図る人を減らすために、免責期間を設けています。免責期間というのは、この期間に被保険者が自殺をした場合、保険会社は保険金を支払わないという期間です。およそ1〜3年で設定されており、保険会社によって異なります。

また近年では「1年なら耐えられる」とした人が増えてきたため、3年にしている保険会社が多いようです。3年にしている理由は、自殺を決意してから3年を生き延びるのが難しいと考えられているからです。

自殺の場合は生命保険金がおりない?

被保険者が自殺をした場合は、保険金を受け取ることはできないのでしょうか。保険法第51条と第80によると、保険会社には免責事由(保険金を支払わなくてよい)があります。それは、「被保険者が自殺をした場合」「契約者や保険金受取人が故意に被保険者を死亡させた場合」「戦争やその他の変乱によって被保険者が死亡した場合」の3つとされています。

したがって免責事由により、被保険者が自殺をした場合は、基本的に保険会社は保険金を支払う義務はありません。しかし、実際のところ全く支払われないわけではありません。各保険会社の約款には「責任開始日より3年以内に被保険者が自殺をされた場合は保険金のお支払いはできません」の記載があるため、それ以降は支払われることもあります。

<支払われるパターン>

◆保険金を目的としてない場合
例えば生命保険に加入している人が、人間関係に悩んで自殺をしてしまったとします。自殺をした動機が、保険金を目的としてない場合は保険金が支払われる可能性があります。

◆意思能力がないと認められた場合
心神喪失や精神障害によって意思能力がないと認められた場合は、免責期間以内の自殺であっても支払われることがあります。支払われるか否かをわけるポイントは「意図的な自殺かどうか」です。

<支払われないパターン>

◆明らかに保険金目的の自殺の場合
例えば莫大な負債を抱えている人が高額な保険に加入して自殺をするなど、明らかに保険金を目的とした自殺の場合は保険金が支払われません。借金を返済するなどの目的で自殺を図ろうとしても、うまくはいかないようになっています。

また保険は相互扶助の上で成り立っていますので、自殺をする人に簡単に支払われるようになってはそれが成立しなくなってしまいます。仮に自殺に対して免責期間を設けなかった場合、保険会社は破綻する可能性をなくすために保険料金を上げます。それを負担するのは真面目にコツコツと保険料を納める人たちですから、免責期間がなくなると保険料の負担は利用者全員に課せられる事になります。

◆免責期間以内の自殺の場合
保険会社が定めた免責期間での自殺は、保険金が支払われません。免責期間は責任開始日を起点にカウントします。責任開始日とは、生命保険会社が保険金や給付金などを支払う責任を負う、開始時期のことを言います。契約日とは異なる点に注意が必要です。

保険においては、保険契約の申請をし、告知・診査を経て第1回の保険料が払い込まれた時点が責任開始日とされています。保険会社によっては告知・診査を経た時点で責任開始とする場合もありますが、第1回の保険料払い込み開始時点を責任開始日と覚えておくのが無難です。

自殺以外に生命保険金が支払われないパターン

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自殺の場合の他にも、保険金が支払われないパターンがあります。保険金は大切な人のために残す大切なお金です。メモをするなりしてしっかり覚えておきましょう。

<がんによる不払い>

生命保険のがん特約やがん保険では支払い猶予期間が設けられています。これは責任開始日から90日とされています。90日以内にがんが発症した場合は、支払いがされません。これは、自覚症状がないまま保険に加入し、悪化してから自覚するといったことを防ぐために設定されています。診断を受けることは早期発見につながります。

また、がんのような自覚症状がある人が保険金目的で加入し、すぐに支払いになるといったことを防ぐ目的も考えられます。そのような事態が多発した場合は自殺の場合と同様、負担が皆にのしかかってしまいます。

<告知義務違反>

過去の病歴などや現在の健康状態などを偽りなく正確に保険会社に伝えなければいけないことを告知義務といいます。告知義務があるにもかかわらず嘘をついたり黙っていたりして、それが発覚した場合には保険金は支払われません。

例えば被保険者がC型肝炎に罹っているとします。それを告知せずに、C型肝炎が原因で被保険者が死亡した場合は保険金が支払われません。この場合はC型肝炎が原因になっていることがポイントです。死亡原因が他にある(事故や別の病気など)のであれば、保険金は支払われます。

<高度障害において>

高度障害は、歩けなくなるなど、いわゆる身体障害が残ることとは違い、保険会社の約款に定義が記されています。簡単に言うと「日常生活の全てが1人ではできない状態」を指します。ご飯を食べること、歩くこと、着替えやトイレ、お風呂など、あらゆることが一人でできない状態です。

例えば、下半身が麻痺して歩行や排泄が上手くできないが食事は摂れるといった場合は高度障害には当てはまりませんので注意が必要です。

生命保険会社が自殺と判断する手がかり

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保険会社は基本的に、自殺に対しては保険金を支払う義務はありません。しかしそれには自殺を立証するひつようがあります。自殺の定義は簡単に言うと「自殺をした本人が、自らに生命保険が掛けられていることを自覚し、保険金を目的として自らの意思をもって命を断つ」ことです。ポイントは、「自殺という行為を理解している」点です。保険会社は以下のようなことがらを手掛かりとして自殺か否かの調査をします。

<保険金が生活費に対して高額>

例えば夫婦2人の家族の生活費が年間で300万円であったとします。これに対して1億円の保険金が設定されているなど、明らかに高額な保険金が設定されている場合は事件などの可能性も含め、保険会社からの調査が入ります。生命保険に加入する目的は主に、葬儀代の確保や残された家族の生活費を確保するためです。そのため明らかに高額な保険金を設定している場合は意図的に保険金を受け取ろうとした可能性が考えられます。

<複数の保険会社と契約している>

複数の保険会社と契約を結んでいることも、自殺か否かの手掛かりとなります。必要以上に高額な保険金を掛けているのと同様に、「なぜこれだけ必要なのか?」という疑いが掛けられるためです。明らかに不必要なほどたくさん(10社など)の契約を結んでいる場合は自殺の可能性が考えられます。

<死亡直前に保険契約の変更があったか>

死亡直前に保険契約の変更(受取人の変更など)があった場合も自殺かどうか判断する手掛かりとなります。万が一の事態は(病気も場合はある程度予想がつきますが)いつおこるか分からないものです。被保険者が病気でもないのにも関わらず、死亡直前に保険契約を変更していた場合は意図的に命を断った可能性が考えられます。

<遺書があるかないか>

遺書がある場合は、自殺と判断されやすいでしょう。病気などで死亡した場合は遺書があっても不自然ではありませんが、不意の事故などで死亡した場合に遺書が残っているのは不自然と捉えられる可能性があります。

自殺する以外に選択肢はある

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自殺をしてしまった場合、仮に保険金がもらえたとしても残された家族はどのような気分になるでしょうか。嬉しくはならないでしょう。もしこの記事を読んでいるあなたが自殺を考えているなら、いちど立ち止まってみてはいかがでしょう。

保険金を目的に自殺を図るというのは、借金が返せないという理由の方が多いのではないでしょうか。しかしどうしても返せないのであれば、わざわざ自殺をする必要はありません。そういった方を救う制度も用意されているのです。

借金を返すため、お金によって家族を楽にさせるためといった風に考え、自らの命を絶とうとする方は、基本的に真面目な性格をしているのだと思います。しかし、他の道はないのかもう一度よく調べて見て下さい。必ず他の道が見つかるはずです。以下では自己破産について説明します。

<自己破産する>

自己破産は簡単にいうと「財産を手放して債務を免除してもらう」ことです。裁判所に「破産申立書」を提出し、借金の支払いが不可能であると判断された場合は、全ての債務を免除してもらうことができます。

つまり、リスタートをすることができます。ある一定以上の価値のある財産は換金し、債権者に支払われます。数万円の現金など、裁判所で定められた基準を超えないものは自分の手元に残しておくことができます。また連帯保証人などになっていない場合は、家族に迷惑がかかることもありません。自己破産をしたという事実が、家族がローンを組む際に悪影響をあたえるといったこともありません。そういった心配はしなくても大丈夫です。

◆借り入れが5〜10年できなくなる
自己破産をしたあとはしばらく借り入れができなくなります。お金を返せないということは社会的信用を失うことですので、こういった措置はとられることになります。しかしある程度の財産は手元に残せるため、一時的に生活保護申請をするなどして、それをもとに就職活動をするなどして再出発することは十分に可能です。

◆債務が免除されない場合もある
場合によっては債務が免除されないこともあります。例えば借金が増えた原因がギャンブルであった場合、破産法では、その人の免責は不許可とされています。また財産を隠すこともそれにあたります。返済をするべきなのにそれをせずに免除をしてもらおうとするのはやめましょう。実際には不許可となるケースはほとんどないそうですので、あまりビクビクする必要ないでしょう。正直にしていれば大丈夫です。

◆あくまでも最後の手段
自己破産はあくまで最終手段です。なぜそうなるに至ったのか原因を分析し、対策をしなかった場合はまた同じことを繰り返しかねません。あくまでも最終手段であることは忘れてはいけません。

まずは返済ができないか、可能性を探る所から始めましょう。収入を増やすのは難しいかもしれませんが、支出を減らすのはすぐにできます。まずはムダな支出はないか、生活を見直してみるところから始めてみてはいかがでしょう。

まとめ

生命保険では基本的に、自殺に対して保険金を支払う義務はないということを良く覚えておきましょう。保険における自殺の定義は「保険金の受け取りを目的とした意図的な自殺」と捉えると分かりやすいですね。

また、自殺を考えている方は、どうか一度冷静になってください。自死を考えるということは、私たちには想像もつかないような辛い状況にあることと思います。しかし、あなたが自害してしまうことでとても悲しい思いをする人がいるこもと忘れないでください。

少なくとも、何かの縁でこの記事をお読みいただいているあなたが、自害してしまったのなら私たちはとても悲しいです。私たちが直接的にお話を聞くことは残念ながらできませんが、以下に無料の相談窓口一覧をご紹介します。

相談窓口|ひとりぼっちのあなたへ(NHKオンライン)

どうかあなたが、自殺を思いとどまり生きる活力を取り戻してくれることを心から願っています。

関連記事:生命保険はいつから加入すべきか|最適な加入時期や必要性を徹底解説

情報:保険コネクト

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