fbpx

トランプに踊らされ続ける金正恩、ロシアにすり寄った北朝鮮の末路とは?=江守哲

ここに来て北朝鮮の金正恩委員長がロシアのプーチンにすり寄っています。初のロ朝会談が実現した裏側と、大国に踊らされる北朝鮮の今後について解説しましょう。(江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ

本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2019年4月26日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

なぜロシアに急接近した?トランプと同じく、プーチンも甘くない

「上から目線」を続ける金正恩

北朝鮮に再び動きがみられます。米朝首脳会談が不発に終わった後、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は徐々に動き出しているようです。

まず、4月12日には最高人民会議で、施政方針演説を行いました。その中で、対米関係について、かなり明確な考えを示しています。その要旨が次の内容です。

  1. 2月にハノイで行われた2回目の米朝首脳会談は、われわれが戦略的決断と大勇断で踏み出した歩みが果たして正しかったのか強い疑問を生み、米国が真に関係改善の考えがあるのか警戒心を持たせる契機になった。
  2. 米国はまったく実現不可能な方法についてのみ頭を使い、会談場を訪れた。われわれと向き合い、問題を解決していく準備ができておらず、賢明な方向性や方法論もなかった。
  3. 最近、米国は3回目の米朝首脳会談を検討し、対話を通じた問題の解決を強く示唆しているが、新たな関係樹立の根本の道である敵視政策の撤回を依然として無視しており、むしろわれわれを最大限圧迫すれば、屈服させることができると誤認している。一方的に自分の要求だけを押し付けようとする米国式対話法は体質的に合わず、興味もない。
  4. ハノイ会談のような会談が再現されるなら、行う意欲もない。しかし、トランプ米大統領との個人的関係は両国関係のように敵対的ではなく、素晴らしい関係を維持している。
  5. 米国が正しい姿勢でわれわれと共有できる方法論を見いだす条件で第3回首脳会談を行うというなら、われわれとしても一度やってみる用意がある。
  6. 今年末までは忍耐を持って米国の勇断を待つが、前回のように良い機会を得るのは難しいだろう。
  7. 双方の利害に沿い、互いに受け入れ可能な公正な内容が合意文に記されれば署名するが、米国がどのような姿勢で臨むかに懸かっている。
  8. 米国は南朝鮮(韓国)に南北関係改善の「速度調節」を露骨に強要しており、北南合意履行を自らの制裁・圧迫政策に従属させようとしている。南朝鮮当局が真に北南関係改善と平和、統一を願うなら、北南宣言の誠実な履行で自らの責任を果たさなければならない。

このように、かなりの「上目線」での発言になっています。国内向けには、強い金委員長の姿を見せておく必要があるので、このような見解になるのはある意味仕方がないでしょう。

トランプが失脚すれば昔に逆戻り?

それにしても、相当の強弁です。下手をすると、再び昔の関係に戻りそうな内容です。

しかし、そんな中でも「トランプ米大統領との個人的関係は両国関係のように敵対的ではなく、素晴らしい関係を維持している」としています。

この一文を入れることで、米国との関係が保たれていることをかろうじて示しています。

しかし、これは裏を返せば、トランプ大統領が来年の大統領選で敗北すれば、これまで構築してきた北朝鮮との関係が崩壊する可能性があることを意味します。

そのような事態になることが、米国にとって本質的に不利な状況になると上層部が判断すれば、トランプ大統領が勝利するように選挙を動かすでしょう。

これは、トランプ大統領が当選する過程でも実際に起きていることですので、その方向にもっていくこと自体はそれほど難しくはないでしょう。

世論を裏で動かすことで、選挙結果はいくらでも動かせます。それで当選したのが、まさにトランプ大統領自身ですから。

それはともかく、米国が対中政策を強硬にしたため、北朝鮮も中国との距離を取り始めています。

そして、ロシアに近づいています(この点については後述します)。

Next: 米朝のすれ違いは演出?この状態があと1年程度は続く

1 2 3 4 5 6
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー