誰かと交渉をする際、それが仕事であっても恋愛であっても、「なんとか相手を落とす」一辺倒の姿勢では敬遠されてしまいがちなもの。今回の無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が、相手に価値を提供すること、それが無理でも相手を思う正直な気持ちを伝えることが成果につながると説いています。
60億円を払わずに、逆にお金をもらえる方法
こんにちは。ゆうきゆうです。
60億円を払わずに、逆にお金をもらえる方法。あなたは誰かとの交渉で、悩んでしまうことはありませんでしょうか?今夜はそんなあなたにとって、大きなヒントになる話をお届けします。
選挙と写真と大逆転
1912年のことです。セオドア・ルーズベルト元大統領は、当時アメリカの大統領選に苦戦していました。どうしてもライバルより得票数を上回ることができそうになかったからです。
そのため彼らは、ルーズベルトの顔写真が入ったチラシを300万枚刷りました。これを配れば逆転できるかもしれない…!
そんなとき、とんでもない問題が持ち上がったのです。
何とチラシを印刷する前に、その顔写真を撮影したカメラマンの許可をとっていませんでした。当時の法律では、カメラマンは、自分の写した写真一枚につき、最大1ドルの著作権料を請求することができたのです。放っておくと、最大で300万ドル。これは現在の価値に直すと、何と60億円。
もちろんですが、そんな額を払うことはできません。だからといって、すべて刷ってしまったので「刷り直し」をするにしても、莫大な額がかかります。となると、残る方法は一つしかありません。
どうやって、カメラマンを納得させるか。
もしあなたがルーズベルトの担当者だったら、何て話しますでしょうか?
実は当時の担当者は、このように電報を打ちました。
現在、300万枚ものルーズベルトの写真チラシを作ろうとしていますが、その写真に、あなたの写真を採用するべきか考えています。もし採用されたら、全国的にあなたの名を売るチャンスです。掲載するために、あなたは、いくらまでなら払えますか?
すると。カメラマンは大急ぎで、こんな返事をよこしてきました。
大変光栄ですが、250ドルまでしか払えません。
これ、すごいな、と。普通の人なら、ルーズベルト側からお金を払う前提で、その莫大な額を「いくらまで安くできるか」という交渉で始まり、そのまま終わることでしょう。しかし担当者は、そこをスッ飛ばして、逆に「もらう側」になってしまったわけです。
いえ、別にこれを「労働力を安く買いたたいたエピソード!みんなもそうしようね!」みたいなことを言いたいワケではありません。ただこの話で重要なのは、「相手にとってのメリットをきちんと強調・提案した」という点です。
実際「300万部のチラシに自分の写真が使われる」というのは、栄誉でもあり、宣伝にもなります。カメラマンもそれを十分に理解したからこそ「お金を払っても載せて欲しい」と思ったのではないでしょうか。
それは「著作権料をもらえる」という点に絞ってその額を交渉するだけより、よっぽど前向きに相手の心をつかんだわけです。
重要なのは、相手との交渉において「新たな価値」を作り上げることなのです。