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だから日経平均は上がらない…市場は売り目線で満ちている、その理由とは?=櫻井英明

かつて先輩に言われた「相場の天底を当てようとするから見間違える」という言葉が、20年近くたってなんとなく見えてきた気がする…それはどんな意味だったのか。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)

日経平均は、ちょうど新しい相場に入る前の断層地帯

「天底は当てない当たらない」といった先輩の真意とは…

相場の天底を当てようとするから見間違える」とかつて先輩氏に言われたことがある。

銘柄を当てる、なんて表現は不遜だ」とも言われた。「その前に相場の哲学をよく考えてみろ」とも。まったく理解できなかったし、そう言われた日は妙に見が冴えて眠れなかった。そして寝覚めが悪かった。

「相場は当てるものではない?」まず、この概念が理解不能だった。「相場の哲学?」。これも意味不明だった。

そういえば、この先輩氏はよく腹を立てていた。「素人がわかったようなことを言ってる」とよく聞いた。そして議論が好きだった。

最初は優しく低姿勢で教えを乞うような姿で近づき、最後は容赦なく木っ端微塵に論破。いつの間にか周囲から人が消えていった。そのうちに孤高の人と昇華していった。

あれから20年近く経ってみると、なんとなくこの先輩氏の言わんとしていたことが朧気ながら見えてきた。というか、見えてきたような気がする。

「相場の天底を当てようとする」のではなく、トレンドを見極めてトレンドの変化を感じれば良いのだと勝手に考えている。

「2万4,000円で天井を打ち、1万6,000円で底を打ち、また2万5,000円程度まで上昇」。そういう表現をする市場関係者は多い。しかし、2万4,000円も2万5,000円もあるいは1万6,000円もその根拠は何なのだろう。よくわからない。

現実に指数が上がれば目標値が高くなり、現実に指数が下がれば目標値は低くなる。そんな相場追随型の視点は、市場の求めるものなのだろうか。むしろ「6月から上昇し9月か10月には天井。そして年末盛り返す」みたいな時間軸の方が役に立つようにも思える。とかく相場は難しい。

「天底は当てない当たらない」というのが妙に気に入る

ゴルフだって「飛ばさない、乗せない、寄せない、入れない」が好スコアのコツでもある。

そして…、上も下も「限界を覚悟」できれば鬼に金棒だという気もする。「決意と覚悟」は会社人生も一緒だろう。経営者にあってサラリーマンに希薄なのがコレでもある。

<市場関係者のコメント>

「NYダウ237ドル安、米中摩擦の長期化を懸念」と。でも、値下がり率は0.93%に過ぎない。「米中摩擦の長期化を懸念」と言うのは…「株式投資から撤退」「株は全部売る」「カラ売りする」という意味でしょうか?

日経平均も安い。ただ、新しい相場に入る前の断層地帯。まだトレンドはできていません。首肯。

売り目線と買い目線。人は株が下がるとため息をつき株が上がると感激する。

これはなぜなのかと考えてみると、多くの人が売り目線でいるのが理由であるような気がする。持っている株価が上がった。だから売れば儲かる。どうせならもっと上がって欲しい。

ここに日本経済の繁栄とか世界経済の拡大とか企業の躍進なんて視点はあまりない。ただただ「儲かってきた。どこえ売ろうか」という売り目線。当然ながら株価が下がってくると、買値をも下回り利食いは不可能。だから下がって欲しくない。これも売り目線。

だから市場は売り目線で満ちているともいえる。下がった時にシメシメという買い目線には滅多に出会わないのは残念だが…。

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「兜町カタリスト」』(2019年5月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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