自公維3分の2割れの衝撃。選挙予測のプロが読む、参院選議席予測

takano20190530
 

選挙に向けたさまざまな人気取り作戦に余念がないなどと揶揄される安倍政権ですが、いよいよその命運も「風前の灯火」のようです。ジャーナリストの高野孟さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、今夏の参院選で自公維のいわゆる「改憲勢力」が、その発議に必要な3分の2議席を失うとの予測を紹介するとともに、これまで政権を支えてきた日本会議等が、改憲の機会消滅で安倍首相を見離すと記しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年5月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

参院選で自公維合計が3分の2を割るのは必至──だからと言って同日選では衆院も喪失?

衆参同日選の憶測がますます忙しく飛び交っているが、それは所詮は安倍晋三首相がどうしたら政権を放り出さずに生き延びられるかという彼の自己都合から発していることで、国民にとっては踊りたくもない盆踊りに無理矢理駆り出されているだけの、大迷惑でしかない

しかも、参院選単独なら自民党が単独過半数を割り、さらに公明・維新と合わせたいわゆる改憲勢力も3分の2を確保できないのは確実であるという時に、だからと言って同日選にすればそれを食い止められるのかと言えばそんなことは全く以て不確実で、むしろ衆参共に3分の2を失って、安倍首相の「改憲」の旗印が千切れ飛んで、政権がダッチロールし始める可能性の方が大きい。

だから、同日選というのは安倍首相個人の保身のための自暴自棄、一か八かの捨て身の大ギャンブルでしかないのだが、前号「なぜマスコミは衆参ダブル選挙が『行われる方向』で報道するのか」でも論じたように、それが何やらまともな政治選択の1つであるかに言い立てて煽っているマスコミがおかしい。もちろん、こんな風にしていると、弾みで同日選もしくはその変形としての参院選直近の衆院選に転がり込んで行くことはないとは言えないけれども、ここは正気を保って、予定通り参院選が淡々と行われた場合にこれから先どうなるのかを考えたい。

三浦博史の獲得議席予測

予測で定評のある選挙プランナー=三浦博史の参院選についての最新の党派別獲得議席予測(「サンデー毎日」5月26日号)は、次のようである。


 政党     現有  獲得議席予測
        合計  選挙区 比例 合計 +非改選 増減
 自民党    122   37   18  55  111    ▲11
 公明党     25      7    7  14   28      + 3
 与党計    147   44   25  69  139    ▲ 8

 立憲民主党   24    11   11  22   37    +13
 国民民主党   24      5    3    8   24      ± 0
 共産党     14      2    5    7   13     ▲ 1
 維新の会    12   2    5    7   13     + 1
 希望の党    3     1    0    1   1     ▲ 2
 社民党     2   0    1    1   2     ± 0
 野党計     79    21   25  46   90    +11
 諸派・無所属  13   9    -    9   16    + 3
 欠員        3    -   -    -   -    ▲ 3

 総合計    242   74   50  124  245    + 3


この表自体について、いくつかの注釈が必要だろう。第1に、左端の現有議席数は「党派別」であるのに対し、参議院公式ホームページの「院内会派別」で、両者にはズレがある。例えば、党派別では自民党=122であるのに対し、会派別では「自民党・国民の声」となり無所属の藤末健三が加わるので123となる。どうでもいいようなことではあるが、改憲発議に必要な3分の2以上を考えるという場合に「党派別」の議席数では自民+公明+維新+希望の党で162となり、定数242のギリギリ3分の2であるのに対し、「会派別」では163で1議席だけゆとりがあることになる。

第2に、今回は、現有242議席の半分の121議席が改選されるが、表の最下段の4列目、獲得議席予測の合計は124となっている。これは18年の公選法改正で定数を3議席を増やしたためで、非改選121と合わせると同5列目のように245議席となる。3年後にはまた同じことが繰り返され、改選が124、非改選が124なので、総定数は248となることが予定されている。

第3に、従って、改めて確認しておくが、今回選挙後の参院の新定数は245でその過半数は1233分の2以上は164である。その基準に照らして、自民党は単独過半数を獲得できず、自公はもちろん自公維でも3分の2を維持できないだろうということである。

第4に、三浦予測の元の表には、通常の予測と、1人区を中心に野党の統一候補調整がだいぶ進んだ場合の予測とを分けて示していて、上に引いたのは後者の数字である。

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