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政府とマスコミが「引きこもり」と言い続ける限り、惨劇の連鎖が止まらない明確な理由=世に倦む日日

ここのところ「引きこもり」が報道の主役になっている。この言葉を定義したのは誰か。自己責任視点の言葉であり、これを使っているうちは連鎖は止まらない。(『世に倦む日日』)

※本記事は有料メルマガ『世に倦む日日』2019年6月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

悪意あるレッテル貼りが引き金に。自己責任で片付けてはいけない

見えてきた凶行の動機

6月2日放送の『バンキシャ』で川崎殺傷事件を起こした岩崎隆一の生い立ちが報道され、従兄弟に当たる伯父夫婦の子どもがカリタス小学校に通っていたという説明があった。

自宅の部屋からは動機解明に直接繋がる証拠は得られてないが、この事実こそが犯行の動機を雄弁に物語っている。復讐だ。

バンキシャの報道では、この家にはかつては祖母がいて、この子はうちの子じゃないからと近所の者に言っていたという。伯父夫婦の子どもは坊ちゃん刈りの散髪だったのに、隆一は丸坊主にさせられていたという証言もある。

本人の資質や素行の問題もあったかもしれないが、引き取られた伯父一家の中で陰湿ないじめに遭い、差別と虐待の境遇で育っていた。「火垂るの墓」のような毎日を送っていた。

歪んだ人格になるのも無理はない。警察は、家からPCやスマホが出て来なくて全容解明が難しいか言っているが、傍から見ているわれわれからは、もう十分という感じで、事件について完全に把握できたという気分でいる。

伯父夫婦にはマスコミの前に出て来て過去について証言して欲しいし、彼らにはその責任がある。

伯父「甥っ子のことはわからないよ」

事件当日、伯父を取材した週刊ポストの記者に対して、伯父は「(岩崎はふだん家に)いるような、いないようなだね。一緒に暮らしてるってもんじゃないよ。甥っ子のことはわかんないよ!」と履き捨てている。

娘を刺された被害者の家族から見れば、この発言は納得できないものだろう。伯父夫婦は、カリタス小学校の子どもが襲われたと聞いて、すぐに事件の意味を了解できたはずだ。

2人が犠牲になり、18人が重軽傷という事件の大きさを知りながら、そして動機も察知し、被害者と隆一の関係性を承知しながら、また、この返答が即座に活字になって配信され被害者家族の目に届くことも分かりながら、「甥っ子のことはわかんないよ!」という言い方はどういう態度だろう。

伯父夫婦からすれば、自分たちも被害者だと言いたいだろうが、被害者家族からすれば、この殺人鬼を生み出した原因と責任は、まずもって伯父家庭の環境と教育に帰するという認識になるだろう。

伯父夫婦は事件に向き合うべきだし、責任ある立場として被害者家族に謝罪の言葉を言うべきではないか。事件の犠牲者2人は、伯父夫婦の身代わり(代償)のようなものだ。

Next: 「引きこもり」と決めつけたのは誰か。事件は連鎖していく…

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