世界遺産でナイトライフの聖地。美しき音楽の島「イビサ」の魅力

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2019/06/12

今回ご紹介するのは、1999年に世界遺産へ登録された、スペインの「イビサ、生物多様性と文化」です。冒頭から少し固い表現を用いてしまいましたが、皆さんはこの「イビサ、生物多様性と文化」についてご存じでしょうか。

「イビサ、生物多様性と文化」というのは、地中海に浮かぶスペイン領の島、バレアレス諸島のイビサ島の自然とその豊かな生態系をさしています。

イビサ島は有名なクラブが多数あって、世界的に有名なDJがプレイするため、特に夏の間には世界中から多くのオーディエンスが集まります。

1万5000人が収容可能な世界最大のクラブがあることなどから、ヨーロッパの若者の間では非常に人気の高い観光地となっています。

今回はそんな不思議な魅力を持つ、イビサ島の魅力について迫ってみましょう。

イビサ島の歴史

image by:tkarpati/Shutterstock.com

イビサ島の歴史はかなり古く、紀元前650年ごろにはフェニキア人によって港町が建設されたました。

当初の町の名前は、エジプト神話に登場する踊りの神様「ベス」に由来して、「Ibossim(イボシム)」と呼ばれていたそうです。この音が変化して、ローマ人には「Ebusus(エブスス)」と呼ばれることになります。

フェニキア人の国・カルタゴがイスパニアに進出するにあたって、イビサ島はその攻撃の足場ともなる橋頭堡(きょうとうほ)となりました。

イスパニア進出後は、カルタゴ本国とイスパニア植民地を繋ぐ重要な交易拠点となったのです。


image by:Lukasz Janyst/Shutterstock.com

西地中海の制海権を得るためには、イビサ島を含むバレアレス諸島が重要な役割を果たします。そのため、地中海周辺地域の国々はイビサ島を巡って争いを繰り広げました。

カルタゴ、古代ローマ帝国、北アフリカのヴァンダル王国、東ローマ帝国、後ウマイヤ朝やタイファ諸国などのイスラム諸国家、キリスト教徒のアラゴン王国など、多くの国に帰属しましたが、最終的にはアラゴン王国を継承したスペイン王国の領土となり、現在に至ります。

音楽文化が発展した、現代のイビサ島

image by:Peterjohn Chisholm/Shutterstock.com

近代以前はもっぱら漁業と海軍の島でしたが、現代のイビサ島はヨーロッパでも有数のリゾート地としてその名を知られています。

世界遺産にも登録されている豊かな自然や、中世以前の各文明の遺構などもその理由のひとつですが、なんといってもクラブミュージックの聖地であることが、多くの観光客を惹きつけているのです。

image by:Party people studio/Shutterstock.com

遡ること1980年代、イギリスのDJたちがこの島のダンスミュージックに注目し、クラブアイランドとして大きなプロモーションを行ったことにより、イギリスのクラブピープルの憧れの島となったのです。

そして20世紀末までにはヨーロッパのクラブシーンの聖地としての地位を確立し、世界中から人々が押し寄せるようになります。

ほかでは類を見ない大型のクラブがいくつもあるこの島は、まさに島全体がクラブといっても過言ではないほど。日本でも作家・村上龍氏が、この島のカルチャーに一部触れた小説『イビサ』を、1992年に出していますね。

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