人は当たらないと思いながらも、楽して大金持ちになる夢を追って「宝くじ」を買ってしまう。現実逃避の最たるものだ。そして、現実逃避で現実を乗り切ることは無理だ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。
逆転への道が他に見つからない?現実を変えられるのは宝くじだけ
ひょっとしたら当たるかも…と買い続ける
人々が宝くじが当たらないと分かっていても買うのは、どこかで当たった人がいることを知っていて、自分もあやかりたいからである。
ところが宝くじで何億円も当たる人は日本の事情で言えば、約3,000万人のうちのほんの数人でしかない。それでも、当たるかもしれないと多くの人は思う。面白いことに、その同じ人が「自分は自動車事故に遭わない」と漠然と思っていたりする。
しかし自動車事故は結構な確率で遭うことが分かっている。たとえば2014年は事故に遭った人が71万1374人もいる。1億2000万人の人口でそれを割れば168人に1人は交通事故に遭うという計算になる。これは低い確率ではない。
だから「宝くじは当たらないが交通事故には遭う」と考えるのが合理的思考でもある。宝くじは望んでも当たらないが、交通事故は望まなくても当たるのが人生なのだ。
しかし、このような合理的な計算をする人は、世の中にほとんどいない。なぜなのかというと、そこには殺伐とした現実があるだけで「夢」がないからだ。
宝くじはほとんど当たらない。しかし、多くの人はその現実に目をつぶって「どうせ当たらない」と言いながら宝くじを買う。しかし口では当たらないと言いながら、「ひょっとしたら」という夢が心を掻き乱す。
自分の人生の一発大逆転が、そこにしか存在しない
失業者も、無職者も、年金生活者も、生活保護受給者も、みんな宝くじを買っていることが知られている。働かなくても、働けなくても、収入がなくても、なけなしの金を宝くじに使う。
それは、限りなく非合理な選択である。
金がなければ、1円も無駄にしてはいけない。本来であれば、当たりもしない宝くじを買うような無駄は慎まなければならないはずだ。
足りていないのであれば節約するのが筋であり、わけの分からないものに散財するというのは合理的ではない。
はっきり言って、宝くじというのは「わけの分からないもの」の最たるものである。ほとんど当たりもしない紙切れである。それでも、彼らの一部は宝くじを買うことを止められない。
なぜなら、宝くじこそが自分の人生に一発大逆転の大金をもたらしてくれる可能性がわずかでもあるからだ。
もし大当たりすれば、コツコツと貯金をしている人間を尻目に一気に人生の勝ち組になれるかもしれない。そんな「夢」がわずかながらでも宝くじにはある。