死者も出た中国の嘘ニュース。日本も対応迫られる「公害」の正体

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以前掲載の「台湾人『外交官』を自殺へと追い込んだ、中国の卑劣な偽ニュース」でもお伝えしたとおり、中国によるフェイクニュースが周辺各国に深刻な影響をもたらしています。もちろん日本も例外ではありません。台湾出身の評論家・黄文雄さんは今回、自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、中国のフェイクニュースを「公害」とし、日本の国会もその汚染について真剣に対応すべきと警鐘を鳴らしています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年6月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【日本】中国のフェイクニュースに汚染される日本

2019年5月、台湾では災害時にフェイクニュースを流した者に対して、最高で無期懲役を科すことができる法律を可決しました。

災害時のデマ拡散に罰則=無期懲役も-台湾

2018年9月、台風による浸水被害で関西国際空港が麻痺状態になり、多くの旅客が一時的に関空に取り残されるという事態になりましたが、このとき、中国では「中国総領事館がバスをチャーターし空港に閉じ込められた多くの中国人たちを優先的に避難させた。中国は偉大だ」という自画自賛のニュースが駆け巡りました。

これに対して、台湾のネットでは、「なぜ中国にはこのような行動ができて、台湾はできないのか」と、台湾の駐日大使館駐日代表処を批判する声が飛び交い、これに台湾のメディアや国民党も呼応して、蔡英文政権攻撃の材料にしました。

その結果、台北駐大阪経済文化弁事処(領事館に相当)の蘇啓誠(そ・けいせい)処長が自殺に追い込まれるという痛ましい事件が起こりました。しかも、「中国総領事館がバスをチャーターして中国人を優先的に避難させた」という事実はなく、まったくのフェイクニュースであったことが判明しました。この事件については、以前、このメルマガでも取り上げています。

台湾人「外交官」を自殺へと追い込んだ、中国の卑劣な偽ニュース

これを教訓として、台湾では災害時のフェイクニュースを罰する法律が成立したわけです。もしもそのフェイクニュースが原因で死者が出れば、発信者は無期懲役になる可能性もあります。

フェイクニュースは、民主主義にとっては非常にやっかいなものです。民主主義にとって言論の自由や情報公開は選挙民の選択を左右するきわめて重要なものですが、それを逆手に取って、フェイクニュースを流すことによって選挙行動を捻じ曲げてしまうことが可能になるからです。

台湾の蔡英文政権も、中国発のフェイクニュースが台湾で拡散していることに強い警戒感を示しています。とくに来年は台湾国政選挙ですから一層の注意が必要です。

蔡総統、中国のフェイクニュース拡散の動きに警戒感/台湾

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