あのGoogleが「ファーウェイ問題」の早期解決を熱望する切実な理由

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アメリカのトランプ大統領が先日明らかにした、ファーウェイに対する制裁措置の緩和。具体的にどのような形で緩和されるかはまだまだ不透明な情勢ですが、この流れをもっとも喜んでいるのはグーグルではないかと話すのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、楽天とともにMNOデビューを果たす話題のスマホ製造メーカーの話題とともに、そんなファーウェイとグーグルとの浅からぬ関係性について解説しています。

トランプ大統領がファーウェイの制裁措置を緩和━━果たして、キャリアはP30シリーズの発売に踏み切るのか

6月29日、トランプ大統領は米中首脳会談後にファーウェイに対する制裁措置を緩和すると発表した。これで国内における新製品の発売に光明が見えたかと思われた。実際、IIJがP30、P30 Liteの発売を決めたが、キャリア3社に関しては状況は変わっていない。

その後の報道では、ファーウェイはエンティティー・リストに掲載され続けるとされ、緩和されるものに関しては「一般的に入手できる場合」に限られるとされた。これによってAndroidなどのOSの取引が解禁されるのかは不透明となってしまった。また、緩和されるものの、取引額には制限があるという報道もあった。

こうした不安定な要素はあるものの、ファーウェイとしては現在でも粛々と既存の製品に対して、ソフトウェアアップデートを提供している。今後についても、問題なさそうな雰囲気だ。

ファーウェイは、SIMフリースマホであっても、きっちりとソフトウェアアップデートを提供している。実際、2016年12月16日発売のMate 9においても、当時はAndroid 7だったにも関わらず、2019年3月28日にはAndroid 9が提供されている。ファーウェイのSIMフリースマホでは、Google security patchを含む配信は2ヶ月ごと、OSのバージョンアップではライフサイクルで少なくとも1回は提供されているという。

そう考えると「比較的、長い間安心して使えるSIMフリーのAndroidスマートフォン」と言えるわけで、ユーザーの選択としても貴重な存在というわけだ。

ファーウェイのスマホはEMUIというOS名称となっているが、実際のところはAndroidである。ファーウェイは、EMUIでいち早く乗せた技術や機能をAndroidコミュニティに積極的に提供し、Androidの進化に貢献してきた。

グーグルとしてもファーウェイとの関係が切れるのは痛手のはずだ。ファーウェイがグーグルのサービスが使えないOSで世界展開するとなれば、グーグルの広告ビジネスにも影響を及ぼしてくる。グーグルとしてもファーウェイとの関係を維持し続けたいわけで、一刻も早い全面解決を望むばかりだ。

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