明治「五大監獄」に宿泊できる。奈良県の重要文化財がホテルに再生

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2018/12/22

「刑務所」と聞くとあまりいいイメージはわかない方も多いかと思います。しかし、明治時代に建造された奈良県奈良市の「旧奈良少年刑務所」は、国の重要文化財として指定されており、建築遺産として「美しすぎる刑務所」と呼ばれ、多くのファンを集めています。

そしていま、この美しい建築遺産を保存・活用し、2021年開業を目指してホテルへ再生する計画があるのです。

ロマネスク様式の美しい刑務所がホテルへ再生

image by:PR TIMES

「旧奈良少年刑務所」は奈良監獄として建てられ、明治の「五大監獄」で唯一現存する赤レンガの建物です。同施設は明治41(1908)年、明治政府が監獄の近代化をアピールするため建設し、昭和21(1946)年からは奈良少年刑務所として使われてきました。

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刑務所といっても、その作りは凝ったもので、設計は旧司法省技官の山下啓次郎氏が担当。重厚なレンガ造りで、カーブを描くドーム屋根のアーチ型表門や、庁舎からいずれも2階建ての5つの収容棟が放射状に延びるデザインになっています。

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建設から100年以上経過し、老朽化により2017年3月に惜しまれつつ閉鎖されました。しかし保存を望む声が多くあり、建物の運営権がホテルを全国展開する企業に譲渡されました。そして3年後である2021年には、史料館などを併設した国内初の「監獄ホテル」に生まれ変わることが決定。「古都の新たな観光スポットに」と期待されています。

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計画では、このホテルはタイプが異なる3つの宿泊施設を持つことになります。独房の壁を撤去し、3房を1部屋にするなどの工夫で、収容棟部分を約150室の宿泊施設にするほか、歴史的建造物を眺められる約80室のホテルを敷地内に新設します。

さらに、奈良監獄の歴史や役割についての史料館や、奈良の工芸品や雑貨を扱う商業テナントエリア、レストラン、温浴施設も併設。史料館は2019年10月に、ホテルを含む複合施設は2021年にオープンする予定です2018年8月に一部の解体工事が始まり、10月から順次、耐震改修工事に取りかかっています。

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2018年6月には建物の内部が修学旅行生に特別公開され、これを機に一般市民からも「見学したい」との声が市観光協会に殺到し、2018年10月上旬には明治時代の建築物をめぐるツアーの一環として、内部見学が実施。法務省では2018年11月の明治150年記念イベントでも一般公開しています。

刑務所といっても、明治時代の趣を凝らした美しい建造物です。新たなホテル自体も、当時のモダンな雰囲気を味わえる歴史的意義のあるものになりそうです。ホテルとして開業した際は、ぜひとも訪れてみたいものですね。


※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。

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