中国が蔡英文に浴びせた許し難い差別発言、台湾に横ヤリの何様

kou20190718
 

2020年の次期台湾総統選挙の候補者が、与野党ともにほぼ出揃いました。野党国民党では現高雄市長の韓国瑜氏が、以前掲載の「台湾を『中国の一部』と発言のホンハイ会長が台湾総統になる悪夢」でも紹介した郭台銘氏を予備選で破り、公認候補に。これを民進党の蔡英文現総統が迎え撃つ構図となっています。中国の工作なども噂される同選挙、どのような展開を見せるのでしょうか。台湾出身の評論家・黄文雄さんが自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で分析・解説しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年7月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】2020年総統選挙の最新事情!

女性、独身、子なしを責められた台湾総統、FBで反撃

台湾では、2020年の総統選挙に向けた様々な動きが逐一メディアの注目を浴びています。まずは、野党国民党の公認候補を決める予備選で、鴻海精密工業の創業者である郭台銘氏ではなく現高雄市長の韓国瑜氏が勝利しました。

台湾総統選、野党候補は韓国瑜氏に 鴻海創業者を上回る

郭台銘氏が国民党候補に名乗りを上げたときは、台湾メディアは大騒ぎして持ち上げたものでした。その後も、潤沢な資金をもとに、テレビコマーシャルをはじめとした様々な広告宣伝を繰り広げて存在をアピールしてきた郭台銘氏でしたが、やはり中国寄りというイメージが強かったようです。

香港の逃亡犯条例に対する大規模デモは、台湾人にも大きな影響を与えました。中国に呑み込まれてしまってはいけないと改めて思わせる出来事だったのです。そして、中国寄りの郭台銘氏の人気も下がったということでしょう。

一部報道によれば、予備選で敗北した郭台銘氏は国民党からではなく無所属で総統選に立候補するのではないかと言われています。一方で予備選に勝利した韓国瑜氏も、香港のデモについて明言を避ける逃げ腰の姿勢や、高雄市長になって間もないのに総統選に立候補することに対してなど、批判を受ける要素はあります。

そして、与党民進党の公認候補である蔡英文氏ですが、彼女は新党の総統選立候補者である楊世光氏から冒頭のような批判を受けました。彼の発言は以下の通りです。

我是統派、我是男人、誰是獨派、誰是女人。蔡英文沒有資格講下一代、因為蔡英文沒有下一代。

 

(私は男で統一派。誰かさんは女で独立派。蔡英文は未来を語る資格はない。なぜなら子供がいないからだ)

これに対して、蔡英文はフェイスブックで冷静に反論しています。

こうした攻撃は一度たりとも止んでいない。私が攻撃されているということは、多くの台湾女性も同じ苦難を味わっているということだ(中略)もしも、努力が足りない、あるいはよくできていないならば批判は受け入れるし努力も続ける。しかし性別や生殖能力を根拠とする個人攻撃は、女性を否定し、政府の努力をくじくものである。我々は台湾の未来のために真剣に努力し続ける

楊世光説蔡英文「沒資格談下一代」:為何人們總是縱容性別失言

確かに、蔡英文氏は女性であるが故に様々な攻撃をされてきました。以前、「中国の大誤算。台湾を脅すつもりが世界を敵に回した習近平の失態」でも紹介しましたが、台湾の中国寄り女性タレントが美醜を持ち出して蔡英文を攻撃したこともありました。そのたびに蔡英文氏は冷静に対応してきました。蔡英文がもしも男性だったら、このような余計な攻撃は受けずに済んだことでしょう。

少なくとも台湾人は、女性の総統を掲げていることを誇りに思うべきです。それを批判するなど言語道断です。

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