7月18日、ヤフーは、子会社のアスクル岩田彰一郎代表取締役社長の再任に反対の議決権を行使する予定であるプレスリリースを発表。このポイントを解説します。(『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』)
業務・資本提携関係の見直しに係る協議の申入れ
ヤフーが子会社アスクルについて、2つのプレスリリースを発表
7月18日、ヤフー<4689>は、アスクル<2678>に関する2つのプレスリリースをした。
・岩田彰一郎代表取締役社長(「岩田社長」)の再任に反対の議決権を行使する予定であること
<これまでの経緯>
2012年 アスクルと業務・資本提携契約を締結
2015年 業務・資本提携契約の改定
当社はアスクルの株式を約45%(議決権ベース)保有し、アスクルを連結子会社化
<反対の理由等>
変化の激しいEコマース市場において、アスクルの低迷する業績の早期回復、中長期的な企業価値の向上、株主共同利益の最大化を実現するためには、抜本的な変革が必要であり、1997年から現在に至るまで長期にわたり代表取締役社長を務めている岩田社長から経営の若返りを図り、新たな経営陣のもとで新たな経営戦略を推し進めるのが最善と考えるに至る。また、他の取締役候補者への議決権行使につきましても、慎重に検討していく。
※参考:アスクルの第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案) に対する当社議決権行使に関するお知らせ
・当社は、7月12日にアスクルから業務・資本提携関係の見直しに係る協議の申入れを受け検討
・当社としては、アスクル社が新たな経営陣のもとで新たな経営戦略を推し進めることが、アスクル社の中長期的な企業価値の向上および株主共同の利益の最大化のために最善と考えている
⇒ かかる(提携関係の見直し)協議は不要と考えている旨、および引き続き業務・資本提携関係は継続したい旨、本日アスクル社へ回答した
※参考:アスクル株式会社からの「業務・資本提携に係る協議の申入れ」に関するお知らせ
3.株価終値推移
(1)アスクル
7/16 2,323円、7/17 2,606円、7/18 2,488円
(2)ヤフー
7/16 328円、7/17 329円、7/18 322円
⇒ 岩田社長への反対票は5割超確保
⇒ 再任されないことが確定
*アスクルは、平成5年に同社の前身であるプラス株式会社アスクル事業部においてオフィス用品のカタログ通信販売事業を開始して以降、平成9年には通信販売業としての位置づけを明確にするためにプラス株式会社から分社。
※参考:アスクル株式会社の第56回定時株主総会における取締役選任議案(第2号議案) に対する当社議決権行使に関するお知らせ
※参考:一体なぜ…? ヤフーとアスクルに経営権をめぐる騒動が起きていた!―現代ビジネス(2019年7月17日公開)
<感想>
本件は、連結子会社のアスクルの株主総会で、親会社のヤフー(及び大株主のプラス)が岩田社長の再任に反対することのプレスリリース。
ソフトバンクグループの組織再編にも絡み、20年超社長を務めるアスクル岩田社長からの変革への強い意志を感じるが、誰を社長に選任するのか。社員に動揺はないのか。今後の行方が大いに気になる。
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『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』(2019年7月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による