岡本社長の会見は何が「アウト」だったか?謝罪のプロがダメ出し

2019.07.23
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吉本興業所属の芸人たちによる「闇営業」事件を受け、22日午後2時から行われた吉本興業の岡本社長の記者会見。吉本経営陣は終始言い訳とも取れる的外れの回答を繰り返し、真実を追及する記者たちとの質疑応答は5時間半にも及びました。日大以来最悪の記者会見とも称される今回の会見、どこがいけなかったのか、どうすればよかったのか。「謝罪のプロ」として知られ、コンプライアンス研修の講師も務められている増沢隆太さんが、まぐまぐの新サービス「mine」で検証しています。

こうすれば良かった?岡本社長会見

大注目を浴びた宮迫さん、ロンブー亮さん会見に続き行われた吉本興業・岡本社長の会見。すでにいろいろ意見が出ていますが、今回の謝罪は成功なのでしょうか?

1.ロングラン会見の原因

5時間を超える会見となった吉本興業・岡本社長の会見。良い点と悪い点があります

良い点としては、時間無制限という対応が批判に対する姿勢でもあるからです。本来は謝罪の姿勢の一環として時間無制限は好ましいものですが、今回は少々事情が違いました。

何より岡本社長の説明が長く、まわりくどいという批判を呼びました。5時間半の会見をすべて見ましたが、必ずしもごまかすというより説明が下手だなというのが素直な印象でした。なかなか結論に至らず、背景説明などに時間を使った結果、質問に対する答に至るまでにとにかく時間がかかりました。結局ロングランで対応したというより、説明が下手で時間がかかってしまったといえるでしょう。

すぐ結論に至らない回答は、ていねいな説明であっても「逃げ」とも取られかねません。ここはプレゼンテーションの専門家ではない岡本社長の弱点が出てしまったと感じます。

2.パワハラ発言

「会見するならクビ」発言に代表される岡本氏のパワハラ発言ですが、これは芸人さんたちと現場担当者たちの話し合いが膠着していたところで場を和ませようとの意図だったと説明がありました。私はまんざら嘘ではないように個人的には感じます。しかし真実だったとしてもこの回答はダメです。

謝罪は真実を伝える場ではなく、批判が巻き起こっている事態を収拾するためのもの。真実かどうか当人以外誰も判断はできません。ゆえに納得感のない説明は反発だけを呼んでしまうのです。

この発言の意図が何であれ、社長が「クビだという発言は許されないのが現在のコンプライアンスです。私はハラスメント対応セミナーで全国を回っていますが、ビジネスパーソンであれば当然、誰でもさすがに今時だめなことは理解されています。「キサマはクビだ!」というセリフは今や、テレビや映画の中だけのものです。

元からコンプライアンスに外れた発言なのですから、真の意図など関係なく発言を認め謝ってしまえば良かったと思います。自分の正当性をついいいたくなるのが心情ですが、これを抑えないと謝罪として成り立たないのです。

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