陶芸史上最大の謎を追い求めて。妖艶に輝く「大山焼き」の可能性

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2017/11/15

日本全国にはその土地の特徴や伝統を組んだ様々な陶器が存在していますが、鳥取県伯耆町には「大山焼」という世にも珍しい「銀色に輝く陶器」が存在します。この大山焼は世界で唯一ここにしかない、「玉鋼曜天目(たまはがねようてんもく)」という独特の技術を取り入れています。今回、この技術を唯一受け継ぐ『大山焼 久古窯』の窯元である鈴木さんにお話を伺いました。

 

そもそも『大山焼』ってどこにあるの?

今回、訪れたのは鳥取県伯耆町。鳥取県の西部地域に位置する町です。中国地方で一番高い名峰「大山(だいせん)」のすそ野に位置します。大山は、見る角度によって様々な表情を見せますが、とりわけ伯耆町から見える大山は「伯耆富士」と呼ばれ、最も美しく雄大な姿を見ることができます。

この日本有数の名山である大山と日本海に挟まれた自然豊かな行楽地として、伯耆町は西日本方面では「西日本の軽井沢」と呼ばれます。また、この大山から百年の歳月を経て浄化された天然水は軟水で口当たりがまろやか。天然水「いろはす」の採水工場もここ伯耆町にあります。

そんな名水の里である伯耆町の中で唯一の窯元が、今回取り上げた『大山焼 久古窯』です。実は大正時代から途絶えていましたが、現在の窯元当主である鈴木さんが昭和45年に再興しました。米子自動車道の大山PAを降りてすぐ、車で1分のところに1階建ての静かな佇まいの窯元に辿り着きます。

『大山焼 久古窯』は、鈴木さんご家族3人で運営しています。ご主人の鈴木さん、とても気さくな奥様、長男で後継ぎの息子さん。温かみがある素敵なご家族です。お客さんも交えてお茶をすることも頻繁で、研究者としての厳格さと、どこかほっとする朗らかな日常が垣間見えます。

久古窯の外観
久古窯の外観
こちらの看板が目印!
こちらの看板が目印!

 

銀色に輝く『大山焼』の魅力とは?  

ここ大山焼の魅力は何と言っても、窯元当主の鈴木さんが生涯にわたり研究を続けてきた成果である銀色に輝く陶器たちです。特に独特の技術である「玉鋼曜天目(たまはがねようてんもく)」は世界で唯一ここだけ。  

なぜ銀色に輝くのか?その秘密は、釉薬(ゆうやく)にあります。釉薬とは、陶器の発色に使われる薬剤のこと。こちらの窯元では、金属的な発色をさせるために、鉄釉(てつゆう)を独自開発されたそうです。鉄釉はその名の通り鉄から作られた釉薬のこと。  

このあたりの地域では昔からたたら製鉄が盛んであり、現在でも微量ながら鉄が生産されています。この地元の鉄を使い、生涯をかけて、独自に金属発色の陶器を作り出したのです。


そして、発色を出すためには、窯の温度や構造などの製造工程もとても重要かつ独自であり極秘です。もちろん私も教えてもらえませんでした。

鉄釉で作られた陶器は様々。地酒が似合いそうな徳利やお猪口、茶碗、マグカップ、小皿から両手に抱えきれないほどの大きなお皿まで。もしリクエストがあれば、希望に応じて作っていただくことも出来るそうです。世界で稀にみる鉄釉の技術を活かした、上品で深みのある銀色の陶器を見ると心が躍ります。そして実際に手に持つと、しっとり手になじみ、心が落ち着きます。

 

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