【MBの"超"思考】うまくいかない時ほど「構造」を考える



「どうも思った様な結果が出ない」

「何かうまくいかない」

人生望み通りになる人は少なく、多くの人がこうして悩み苦しみながら日々を送っているもの。こうした悩みや苦しみは何故起こるのでしょうか。またその理由を真剣に考えたことがあるでしょうか。

物事がうまくいかない時には必ず「うまくいかない構造」が潜んでいます。私は何かを始める時、何かをしている時、どんな時でも必ず「構造」を意識しています。

何か失敗すると、いつの時代も上司や先生はこう言います。

「やる気がないから上手くいかないんだ!!もっと頑張れ!!」

実はこれは微妙に間違っていて、「やる気がない」と言うより「やる気が出ない構造」があるから上手くいかないのです。

私はサラリーマン時代、自分で発案した事業は人が驚くほどのスピード感と規模感で進めることが出来ましたが、何故か上司から与えられた仕事はどうにも結果を出すことが出来ませんでした。例えばアパレル時代でも「自分の大好きなデザイナーズブランド」を扱う時は全国トップの成績を上げることが出来ましたが、上司から与えられた「自分と全く関わりのなかったレディースブランド」を扱う仕事ではどうも上手く進めることが出来ませんでした。

自分でも驚くほどスピード感がない。「やろう」と思っても手が動かずついつい他の業務を優先してしまい蔑ろになりスピードが遅れる。着手すれば今までの経験や知識でそれなりに結果を出すことも出来るは出来るのですが、とにかく手をつけるのが遅くなってしまう・・・。

上司からは「いつも通りのやる気を出してくれ」と再三言われましたが、私は表面上では「他の業務が忙しくて・・・すみません」と言うものの何か釈然としないものがありました。自分が無意識的にこの仕事を避けようとしている、後回しにしようとしていることに気がついたその時・・・私は子どもの頃を思い出したのです。

子どもの頃、いくらお腹が減っていて「美味しいご飯」が用意されていたとしても「TVゲーム」を止めることはできませんでした。母親から怒られて嫌嫌ながら電源をOFFにしてご飯を食べる・・・この「構造」に似ているなと感じたのです。

「TVゲーム」も「ご飯」も、どちらも子どもの私にとって魅力的なものです。しかしどうしても大好きな「TVゲーム」の方に夢中になってしまう。「好み」が優先順位に反映されてしまうため、「TVゲームが終わらないとご飯を食べたくない」と思っちゃうわけです。

レディースの仕事は大変興味深く面白いとは思っていましたが・・・自分が死ぬほど興味のある10年以上着手してきた「メンズのデザイナーズブランド」には勝てません。2つが並んでいれば当然メンズの仕事を優先して着手してしまい、いつまでもレディースの仕事にリソースを割くことが出来ないわけです。

この場合、理想的には「最も興味のある”メンズの仕事だけ”をやる」のが構造的には正しいわけです。「好きなこと」が最も結果を出せることです。誰だって嫌なことはなかなか捗りません、集中力も持続できないでしょう。しかし好きなことであれば、止めろと言われても隠れてするくらい執着を持つことができます。

好きなことだからこそ、いつまでもどこまでも追求することができるもの。漫画が好きな人は1日中漫画を読んでいることが苦痛どころか幸せに感じます。しかし小説が嫌いで苦手な人は1時間読書をすることすらままなりません。それと同じです。

本質的には「好きなことに集中すること」が構造的には正しいのですが、当時私はサラリーマンでしたから。「レディースをやめる」という選択が会社にいる限りはどうしても出来ませんでした。だとするならば「メンズから手を引いて、レディースに集中する」ことが構造的には正しいなと判断しました。

「TVゲーム」も「美味しいご飯」もどちらも魅力的ですが、比べてしまうと「TVゲーム」が勝ってしまいます。・・・しかし仮に「TVゲーム」がなかったなら。私はリソースを美味しいご飯に集中できるわけです。

「メンズの仕事」があるからそちらについついリソースを割いてしまうわけで。そちらを断ち切ってしまえば集中できると判断し、私はある時期から「レディース専業」として仕事をしていました。そうしてようやく腰を据えて着手することが出来、ある程度の結果を残すことも出来たのです。

物事は「構造」を整えると全く違った結果が生まれるものです。



▼丸い弁当箱に三角のおにぎりは入らない。

「丸い弁当箱」の中に「三角のおにぎり」は入りません。ギュウッと詰め込めば入るでしょうが、「三角のおにぎり」はいびつな形になり本来の魅力は損なわれてしまいます。

これと同じで、「構造(弁当箱)」が間違っていれば「その人の資質(おにぎり)」が機能することはありません。肝心なのは「やる気」や「仕事の進め方」などではなく、「構造」なのです。結果を変えたかったら構造に着目すべきです。

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