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韓国発の「金融恐慌」目前でも、文在寅政権が追う目先の日本叩き

大統領自ら攻撃的な言葉で反日姿勢を露わにし、12日には日本をいわゆる「ホワイト国」から除外することを発表した韓国ですが、その前途は多難のようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、世界的な景気後退期に突入した現在、最初に金融恐慌が起きるのは韓国であるとして、その理由を記しています。

リセッションで、どうのようなショックが来るか?

米中貿易・金融戦争になり景気後退局面で、日韓紛争が起きた。次の心配は、今の景気後退から大恐慌へ、どのようなことが起きるかである。検討しよう。

日米株価

NYダウは、利下げ期待で、7月16日27,398ドルと最高値を更新したが、トランプ大統領が中国への追加関税UPと為替操作国認定で、8月7日25,440ドルまで下げ、8月9日26,287ドルになっている。

日経平均株価は、2018年10月2日24,448円になったが、以後低調で、12月26日18,948円と暴落し、米国で今年利下げ観測で、7月25日に、21,823円まで戻したが、米国の追加関税UPで8月6日20,110円と大幅な下落になり、8月9日20,684円になっている。

1ドル=7元以上になり、中国への追加関税の上に為替操作国認定と米国は対中政策が過激化してきた。このような過激な政策を提案したのが、ナバロ通商局長であり、他の側近はすべて反対したが、トランプ大統領は、ナバロの提案を採用した。中国を為替操作国としたことで、貿易戦争は通貨戦争に拡大した。米国は、9月もFRBは利下げになる方向だが、トランプ大統領は1%の利下げをFRBに要求している。

このため、世界は通貨安競争になり、新興国などが利下げを加速したことで、利下げができない日本の円は、105円台になっている。この円高と米国の対中政策で、空売り比率が50%以上になり、日経平均株価もPBRが1倍(20,252円)に近づき、日本企業の現状は最高益より落ちたが、最高益付近であり企業価値がそこまでは低くないと、空売りの買戻しが入っている。2万円台前半で買戻しが入り膠着状態になっている。

しかし、貿易摩擦から通貨安競争となり、世界的な金利水準が問題として大きくなり、また、貿易摩擦で貿易量が減ってきている。今週は、お盆で企業の多くがお休みで、実需の円売りがないので、投機筋が円買いを仕掛ける可能性がある。そうすると、1月のフラッシュ・クラッシュの104円台を越えた円高になる可能性もある。しかし、企業利益は減益とはいえ、過去最高レベルにある現状では、株価の大幅な下落を起こせない。PBRが0.6倍になったリーマンショクのような大きな世界的なショックが起きないと買戻しが出て、株価の下落は限定的である。2万円の攻防が当分続くことになる。

現状の株価動向は、1998年の株価動向と非常によく似ているが、この年は、8月と10月が底となっているダブルボトムを形成している。このため、当分、もみ合った後、再度大幅な下落が起きる可能性が高い

米中貿易・通貨戦争の行方

中国は、米国の為替操作国認定と追加関税UPに対抗する手段がなく、米国農産物の購入を停止したが、関税UPをできない状態である。

中国としては、米国との交渉を未決着のまま、長く引き伸ばすしか方法がない。決裂すると、中国で生産する海外企業の撤退が本格化して、経済成長が止まるか減少することになり、ドル建て企業債務が多い中、人民元のキャピタルフライトが起き、企業デフォルトが多発する危険性がある。もし、デフォルト多発になると金融恐慌になる危険がある。そのことで、共産党独裁体制の危機に直面することになる。

このため、米国との交渉を止めることもできない。妥協として、「中国製造2025」を期間延期して、中国製造2030や2035にすることでしょうかね。米国と交渉決裂は、できないようだ。

しかし、トランプ大統領は、合意できない9月末の米中交渉をしないとツイートしたが、株価の大幅下落する経済問題は、中国ではなく、利下げをしないFRBであるとして、中国との交渉を継続するようである。大統領選挙戦後半2020年8月にでも、突如合意したというツイートをするのであろうか?トランプ独壇場で前後関係が見えない

米国は、中国との交渉に期待しないで、WTOルールの改革を要求して、だめなら独自ルールを作り、同盟国にも広めて、現在の不平等な国際ルールを無効化するようだ。世界の戦後経済体制を破壊して、米国を守る方向になっている。この方向を提案するのか、ナバロ局長であり、トランプ大統領も賛同している。

米国の覇権を擁護する戦後の世界経済体制を、米国が破壊することになっている。米国は自国の覇権を放棄することにもなる。

中国は、米国が中国阻止を進めるなら、最後の手段は、中国のダメージも大きいが、大量に持つ米国債を投げ売ることになる。それと同時にドル決済を止めて、ロシアやイランなどと人民元決済圏を作るようである。この準備は着々と進めている。

そして、米国債を売られると、米国長期金利が上昇して、FRBが短期利下げしても、長期金利が上昇して債券の買い替えができなくなる事態が起きることになる。

米国企業も、ドル建ての債券発行が多く、それで得た資金で自社株買いや新規投資をして、両建て経営をしている。しかし、ここで金利が上がると、借金ができずにデフォルトになる危険性が出てくる。

ポール・チューダー氏は、現状の低金利や量的緩和の金融政策は、このまま続けることはできないという。企業の借金経営を助けるジャブジャブの金融政策では、どこかで限界がきて、社債市場が限界になり、借り替えができなくなる。

事実、社債市場で、ジャンク債金利と長期金利の差が拡大している。ジャンク債の金利は大幅な上昇をして、借り換えができなくなっている。とうとう、ジャンク債市場から始まりだした。

ということで、米中経済の潰し合いという結果になる。しかし、確実に、その方向に米中は向かっている。それに引きずられて、世界経済も下降してきている。

ということで、米中の世界経済体制破壊が始まり次の新世界経済体制誕生への苦しみが当分続くことになる。そして、次の新世界経済体制がどのようなルールになるか、まだ見えていない。MMTではないことは確実である。

どのような金融恐慌になるのか?

このような世界的な景気後退期に最初に金融恐慌が起きるのは、その時点で、一番問題を抱えている地域や企業になる。

その1つが、日韓紛争が起きている韓国である。韓国ウォンは、ドル1,214ウォンと1,200ウォンの節目を越えて上昇している。これはキャピタルフライトが起きているように見える。これに連動して、韓国総合株価指数も下落したが、8月8日に日本が輸出許可を出したことで落ち着き、節目の1,900を割った8月6日1,891から8月9日1,937になっている。

しかし、韓国が徴用工賠償請求で日本資産を現金化した時点で、日本は韓国に経済制裁を行うが、金融封鎖すると韓国経済は破綻することになる。現時点でも韓国ウォン安であり、金融封鎖になるとより深刻なウォン安になり、日本のメインバンクは信用状も出せなくなり、輸出業務も止まることで、韓国企業は立ちいかなくなる。

ということで、韓国発の金融恐慌が起きることになる。韓国は通貨スワップ協定を日米と結ばず、中国とも更新していない。このため、ウォン安を食い止めるドル資金調達の経路が少ない。また、韓国が破綻して、IMF管理体制になる危険性が、大いにある。今度は日本は、韓国を助けてはいけない。

勿論、日本にも波及的な悪影響が起きることになるが、それほど大きくない。そろそろ、波及を大きくしないためにも、韓国経済の破綻を見越した日本企業の対応が必要になってきたと見る。輸出に対する厳重な資金管理が必要である。

もう1つが、ドイツ銀行の倒産である。デリバティブ取引でどのくらいの損失が出ているのかわからないが、投資部門のバッドバンク構想が出ているが進んでいない。ここでも金利が上昇すると、損失の飛ばしができなくなり、デフォルトの危険性がある。

もし、そうなると、世界的なデリバティブ取引の踏み倒しが起きて、EUの銀行の連鎖倒産が起き、そのために、世界的に金融恐慌が起きることになる。日本の金融機関にも大きな影響を及ぼすことになる。これが一番心配である。

3つ目としては、GE、GM、フォードやテスラなどで現時点でも倒産は心配されている多くの米企業の倒産が起きることで、米国市場の株価が大きく落ちて、また、それによる連鎖倒産も起きてその影響が世界に及ぶことになる。これも日本の部品企業の輸出先である可能性も高いので、大きくなる。

韓国の軍事情報協定の破棄

韓国経済の危機的状況にも関わらず、韓国は、日本との関係を破棄する一環として、軍事情報協定の破棄を検討している。これに危機感を抱いている米国は、エスパー国防長官を派遣して、軍事情報協定の破棄を思い留まるように説得している。しかし、韓国の文大統領は、反日的な発言を止めず軍事情報協定も破棄する方向である。

このようなことを受けて、2019年版防衛白書では、安全保障協力の重要度を、韓国について18年版はオーストラリアに続く2番手だったが、今回は4番手と位置付けた。防衛省筋は「事実上の格下げを意味すると明言した。

このため、トランプ大統領も「日韓対立は、米を苦しい立場に」と言い、日韓の歩み寄りを促した格好であるが、この発言も日本が8月8日にサムソンへの輸出許可を出した後に言っている。日本が歩み寄ったのだから、韓国も歩み寄れと言うことである。

そして、その上に、トランプ大統領は、米韓合同演習も金食い虫と批判し、また在韓米軍経費を5倍に増額したことで韓国と合意したとツイートしている。米国は韓国に対して批判的になっている。

軍事情報協定の破棄は、韓国での戦時作戦統制権を有する米軍(国連軍)を無視して韓国が勝手に決められるものではないし米国が許容するはずもない。それでも、もし韓国が軍事情報協定の破棄なら、米軍は韓国から撤退となる可能性が高い。または、韓国軍のクーデターなどで文政権の排除になる。

北朝鮮の金正恩委員長の方が感情的ではなく論理性があるので交渉相手として良いということのようである。北朝鮮と直接交渉できるので、取り扱いが難しい感情的な韓国を捨てても損得的には、米国にとってトントンということのようである。

しかし、それでも、韓国は、国民支持を勝ち得るにも、総選挙に勝つためにも反日感情からも軍事情報協定を破棄するしかないと思っているようである

このように米国の動きを見ても、文政権では、韓国経済破綻の可能性が高いように感じる。

さあ、どうなりますか?

image by: Sagase48 / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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