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香港の「二の舞」だけは避けたい台湾人が慎重に選ぶべき次期総統

来年1月の台湾総統選挙は、現職で民進党の蔡英文氏、国民党の韓国瑜氏、無所属の柯文哲氏と郭台銘氏の4人が立候補する構図となりそうです。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんは、候補者4人の中でも、評価が分かれる柯文哲台北市長について紹介。結果次第では米中、日韓、香港と混乱の続く東アジアに、更なる波紋が生じかねない選挙の行方を注視しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年8月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう) 1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】対立する世界と台湾総統選挙

台北市長が政党結成 総統選の布石か

総統選挙まであと半年あまりとなり、各陣営の動きがだんだんと鮮明になってきました。柯文哲台北市長は、これまで出馬についての明言を避けてきましたが、ついに動き始めたようです。新党結成です。以下、報道を引用します。

「台北市の柯文哲(か・ぶんてつ)市長は1日、市政府(市役所)で記者会見し、自らの政党を結成する考えを明らかにした。柯氏は来年1月の総統選に出馬するかどうかは9月上旬に判断すると改めて表明した上で、同時実施の立法委員選(国会議員選に相当)に候補者を擁立すると述べた。

 

政党名は『台湾民衆党』で、すでに内政部(内務省)に届け出た。6日に結党大会を開く。名称は日本統治時代に自治運動を担った政治団体に由来するという。柯氏は、結党の目的は「民主、自由、多様性、開放、法治、人権、弱者保護などの普遍的な価値を台湾で実践する」ためだと述べる一方で、与党・民主進歩党は『価値のない政党だ』と批判した。

 

柯氏が今、政党を結成しても、総統選では無所属扱いになるため、出馬には有権者の署名約28万人分が必要だ。ただ、所属政党がない場合、総統に当選しても立法院(国会)の運営が困難になるのは確実なため、今回の政党結成は自らの総統就任をにらみ、立法院での足場固めを図る狙いがあるとみられる」(産経ニュース 2019.8.1)

上記のように、新党を結成したところで、総統選では無所属扱いになるとのこと。また、出馬の意思はまだはっきりと表明していません。しかし、どう見ても出馬の意思があるからこその新党結成です。鴻海の郭台銘氏も無所属で出馬するとの下馬評もあることから、総統選挙の大勢はだいたい固まってきました。

民進党候補の蔡英文、国民党候補の韓国瑜、無所属の柯文哲、無所属の郭台銘の四人による戦いとなるようです。報道によれば、郭氏は韓氏の支持を表明していません。なぜなら自身が出馬するからでしょう。

台湾総統選、郭氏が出馬を模索か 構図確定に曲折も(共同通信)

四人の中でも評価が分かれているのは柯文哲でしょう。2016年夏に柯文哲が来日した際、東京で講演をしました。それを聞いていたある顔見知りの衆議院議員に「君たちはなぜこのような自己中心的な人物を支援したいのか」と聞かれたことを覚えています。

確かに、そのときの話の内容は自画自賛に終始し、日本について触れることはありませんでした。その後、ワシントンDCの友人から連絡があり、柯文哲には失望したという話を聞きました。やはり、自己中心的で彼には裏切られた気分だというのです。一方で彼は若い世代に人気があり、評価は分かれるところです。

香港の混乱はさらに広がっており、デモ隊の活動により交通機関がマヒしたり、暴力が蔓延したりと、長引く混乱によって多くの市民が困惑しています。香港政府はデモ隊と歩み寄る気がないどころか徹底抗戦の構えで、デモ隊の目的は「香港政府転覆だ」とさえ言っています。

デモ隊の目標は「政府転覆」 香港行政長官、断固取り締まりを明言(AFP)

日韓関係も悪化の一途をたどっています。韓国の様々な言動によって引き起こされた今回の騒動にもかかわらず、韓国は日本を非難するばかりで、双方歩み寄る姿勢がないばかりか、韓国の攻撃はヒートアップするばかりです。

日韓の問題については、韓国が「安倍首相は謝罪せよ」と要求していますが、誰がどう見ても、日本が韓国を特別扱いする必要性がありません。日本の世論を見ても、半数以上の約6割が日本政府の韓国に対する姿勢を支持しています。韓国はもういい加減に日本に「おんぶにだっこ」はやめて、大人になるべきだという意見が多くあります。

米中の溝も深まる一方で、本日、トランプ大統領は中国を「為替操作国」に認定したということです。トランプ大統領は、中国に対して感情をむき出しにした発言をツイッターでしています。以下、報道を引用します。

「8月5日の上海外国為替市場で、約11年ぶりに人民元の対ドル相場が1ドル=7元台に下落したことを受けて、トランプ大統領は激怒。

 

『中国は人民元レートを、ほとんど過去最低水準まで引き下げた。これは『為替操作』だ。連邦準備銀行、聞こえてるいるか? これは、中国をいずれ大きく弱体化させる重大な違反行為だぞ!』

 

『中国の常套手段である通貨操作により、アメリカ人が関税を受け取っていないことは誰にとっても明らかだ。中国はいつも為替操作をして、アメリカからビジネスや工場を盗み、仕事を傷つけ、労働者の賃金を押し下げ、農産物の価格を傷つけている。もう許さないぞ!』

 

公式Twitterにメッセージを連投していた」(8月6日配信 ハフポスト日本版)

為替操作国ってなに? アメリカが一方的に認定、日本も監視対象に。トランプ大統領は「もう許さない」と激怒

国家の指導者がこれほどまでに稚拙な物言いをするのはどうかと思いますが、こちらも互いに一歩も譲らない状況です。

中東では戦争が繰り返され、アジアでは米中、日韓、香港の混乱が続いています。そして来年早々にはアメリカと台湾で指導者を決める選挙があります。ことの重要性を有権者はしっかりと認識して、今から世界を良い方向に導く指導者は誰なのかを見極めていってほしいと思います。

image by: glen photo / Shutterstock.com

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