まだまだ注目度の高いSaaS関連のなかでも今回は、ついに上場を果たした名刺管理サービスSansanを取り上げす。SaaSビジネスのKPIを詳しく見ていきましょう。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2019年7月9日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
赤字上場ながら、株価を維持する成長力のヒミツは?
Q. ついに上場したSansanのKPIでピカイチに凄いのは何?
今日の記事では、ついに上場を果たしたサンスカイのSaaS業界の大物、Sansanを取り上げたいと思います。
今回開示されたSansanの資料は、SaaSビジネスのKPIという点で非常に詳細まで開示されており、参考になる点も多いので、一つずつ詳しく見ていきたいと思います。
※参考・画像出典:Sansan株式会社 成長可能性に関する説明資料
初めに、Sansanがどんなビジネスをしているのかという点を簡単に整理します。
ご存知の方も多いかと思いますが、BtoB向けの名刺管理サービスSansanだけでなく、BtoCのEightと呼ばれる個人向けサービスも提供しています。
売上・売上総利益率・MRR
売上などの指標をまずは見てみます。
売上は、2018年度の1年間で73億円、2019年度は第3四半期までですでにその金額を超えるという具合に、非常に速いスピードで成長しています。年平均成長率は55.1%です。
もう一つ注目すべきは、売上総利益率がどんどん大きくなっているという点で、こちらは人力で行なっていた作業をどんどん人工知能に置き換えていくことで、マージンが高くなってきているのだと推測できます。
年間の成長率で見ると、直近でも+51.3%ととても早いスピードで成長していることが分かります。アメリカのSaaSビジネスを見ていても、年間50%以上のスピードで成長できる会社というのは、株価も非常に高くなりやすいと言えるのではないでしょうか。
月間継続課金売上を表すMRR(Monthly Recurring Revenue)を見てみると、SansanはMRRが8.2億円と、国内のSaaS企業の中で最大級のサイズになっています。
個人向けサービスであるEightの月間アクティブユーザーを見ると、こちらもビジネス向けのサービスとしては国内最大級となっています。