個別指導塾のTOMASを運営するリソー教育が、学校に講師を派遣する事業の経常利益を2022年2月期に4億円とする目標を立てました。どのように実現するのでしょう。(『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』柴山政行)
リソー教育が中高への講師派遣で収益確保へ
3,700万円の赤字から3年で大幅増益を実現できるのか
個別指導塾のTOMASを運営しているリソー教育が、中学校や高校に講師を派遣する事業の経常利益を2022年2月期に4億円とする目標を立てました。
※参考:中高への講師派遣事業、2年後に経常益4億円 リソー教育‐日本経済新聞(2019年8月17日公開)
前期は同事業が3,700万円の赤字であったため、3年後の大幅増益を目指すことになります。
カリキュラムに取り入れているオンライン英語授業の費用が先行していますが、派遣先を前期末の35校から100校に増やす計画です。少子化の進展に伴い、収益の柱を増やす意図です。
2022年2月期には、連結経常利益を前期比50%増の38億円に引き上げる経営計画を掲げています。
前期は個別指導塾と小学校受験教室の伸芽会で利益の7割を稼いだとのことです。
講師派遣のスクールTOMAS事業は、首都圏や関西を中心として、受験実績の面で中堅の私立中学・高校が主な対象です。
学校の空き教室などに個別指導のブースを設けて、放課後などに希望する生徒に指導します。
学校との契約金に加えて、通常の個別指導より割安な授業料が売上となります。
学校向けの講師派遣は、同社の役務提供のひとつの応用形態となり、法人向けビジネスといえましょう。
学習塾は、一般に個人消費者向けであり、いわゆるビジネス・トゥー・カスタマー(B2C)と言われています。これに加え、学校という法人向けのマーケットを開拓することになり、こちらはいわゆるビジネス・トゥー・ビジネス(B2B)と呼ばれる形態になるのですね。
従来、B2Cを主戦場としてきた企業がB2Bに手を広げるのは、いくら類似業種とはいえ顧客の属性が全く変わるので、一般的にそれなりの準備と覚悟が必要です。
リソー教育としても、従来は巷の親御さんとお子さんを相手にマーケティングをしていたところ、新たに学校法人という「業者」向けのマーケティング戦略を作成・実施する必要に迫られてきたと考えることができます。
これがうまくいけば、確かに大きな収益源の拡大になりますよね。
商品は同じで、顧客の幅を広げる戦略は、アンゾフの成長マトリックスでいうところの「新市場開拓戦略」と呼ばれます。
アンゾフは、商品の視点と市場の視点を組み合わせて、4通りの成長戦略を提唱しました。
経営学では古典とされている代表的な理論です。
これからは、経営戦略、とくに市場における自社の取り組みを規定する競争戦略の視点がさらにさらに重要になってくると思われます。
image by : metamorworks / Shutterstock.com
『時事問題で楽しくマスター!使える会計知識』(2019年8月17日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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