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トランプ大統領の関税政策は米国にとって逆効果?ドルは1/2に切り下げざるを得なくなる=吉田繁治

基軸通貨である限り、膨らみ続ける米国の対外赤字。その対策とは逆を行くトランプ大統領の政策、このままいけばどんな結末が待ち受けているのでしょうか。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2019年8月28日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

世界の経済波乱の兆候が、いま一斉に現れたのはどうしてか?

米国の対外負債は、36兆ドル(3,780兆円:2018年)と巨大

<国際収支はゼロ:経常収支の赤字=金融収支の黒字の仕組み>

米国の経常収支の赤字とは、海外に対する「貿易収支+所得収支」がマイナスになることです。外貨準備(海外への支払い準備金)である基軸通貨のドルが、経常収支の黒字国にいくことです。

【経常収支の黒字国】

1位ドイツ(2,943億ドル:ユーロ内が多い)、2位日本(1,741億ドル)、3位ロシア(1,149億ドル)、4位オランダ(899億ドル)、5位韓国(764億ドル)6位、スイス(688億ドル)、7位台湾(685億ドル)、8位サウジ(654億ドル)、9位シンガポール(639億ドル)、10位イタリア(534億ドル)、11位中国(432億ドル)などが、経常収支の黒字の11大国です(2017年)。

中国は、世界に対する貿易黒字では4,195億ドルと世界1(2位はドイツの2,813億ドル)ですが、海外からの進出企業への所得収支(海外への所得と金利の支払いの収支)と対外負債の利払いで、3,600億ドルくらいの赤字なので経常収支の黒字は大きくはない。

【日本の経常収支】

日本は、年間では半分の月が赤字になるくらい、貿易の黒字は少なくなっていますが、対外資産が生む海外からの所得が、20兆円/年くらいはあるので、経常収支は1,741億ドルの黒字になっています(2017年)。2011年の東日本大震災のあと、貿易では赤字の年度もあります。黒字の年度でも、その金額は小さい。

【経常収支の赤字は、2大国】

経常収支の赤字国は、1位が米国(4,687億ドル)、2位が英国(1,090億ドル)です。米国と英国が、世界の、経常収支の赤字のほとんどを占めています。この構造は、石油危機のあと約40年も、変わっていません。なお世界全体では、「経常収支の黒字=赤字」であり、両者は一致します。

米国などの経常収支の赤字国からは、日本などの黒字国へ、ドルの支払いが超過します。米国から、1年に約4,687億ドル(49兆円:2017年)の、ドルが流出しているのです。

【経常収支の黒字国での、ドルの処理】

黒字国では、企業や金融機関が得たドルを銀行で円に交換します。国内での支払いのためです。銀行に溜まったドルの一部または多くを中央銀行または政府が、自国通貨と交換に、買い上げます。

買い上げた分が、政府の外貨準備です(日本は1.2兆ドル:世界では13兆ドル)。

外貨準備は、普通は、貿易の決済のために使う準備金です。世界の外貨準備は、13兆ドル(1,365兆円)に増えています。60%がドル、30%がユーロです。

Next: 経常収支の黒字国は、金融収支では赤字国になる…そのワケは?

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