10月11日に当選者が発表され、ついに始動した楽天モバイルの無料サポータープログラム。これまでさまざまな「問題点」が指摘されてきた楽天の携帯キャリア事業ですが、今回のプログラムでもその「見通しの甘さ」が露呈しているようです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、無料サポータープログラムに関するユーザーの評判等を紹介するとともに、このままでは大手3キャリアから顧客を奪うのは難しいという厳しい見方を記しています。
楽天無料サポータープログラムがついに始動――「一人5回線まで」「いまだに出荷準備中」など混乱多数
楽天の無料サポータープログラムが動き出した。当選者5,000名に対して、SIMカードや端末の発送が始まり、ユーザーからの評判がSNSに上がり始めた。
ただ、全体的に見ると、様々なところでの「楽天の見通しの甘さ」が浮き彫りになってきていると思う。
まず、5,000名に対して、一斉に当選通知を送り、手続きさせ、端末やSIMカードを送るというのに無理はなかったのか。SNSでは「SIMカードしかこない」という声も寄せられている。また、事前に希望端末を受け付けたのにも関わらず、手続き時には品切れになっている機種もあった。
サポート窓口の反応も悪く、人によって回答内容が違うということも珍しくないようだ。ウェブ上では「発送準備中」になっているものの、すでに手元に製品が届いているという人もいるようだ。いきなり5,000名を相手にするよりも、第1次、第2次といった感じで1,000名単位で対応したほうが、スムーズに行ったのではないか。
もうひとつ、注目を浴びているのが「1人1回線」ではなかった問題だ。当選者からは「複数回線申し込める」という声が上がっていたが、実際には最大5回線まで申込みができ、ちゃんと5枚SIMカードが送られてくるという状態だという。
本来ならば「5,000名できちんとネットワークが稼働するか検証する」という目的の無料サポータープログラムであったはずが、なぜか最大2万5,000回線まで受け付けるとなると、当初と話が違ってくる。はじめから2万5,000回線も受け付けられるのであれば、落選者などをつくらずに、2万5,000名を当選させればよかったのではないか。
ネットワーク品質においては、基地局整備も大変なことから、はじめから期待していないが、こうしたユーザーへの対応部分に不備があると、一気に楽天のイメージは悪くなってしまう。
この1週間の、ユーザー対応を見ていると「有償サービスで始めなくてよかった。無料だからまだ許せる」とは思えるが、とはいえ、あまりにお粗末な感じになってしまっている。このまま「安かろう、悪かろう」イメージでは、大手3キャリアからユーザーを奪うというのは至難の技となってくる。
楽天モバイルとしては早期に体制を立て直し、無料サポータープログラムであっても万全なユーザー対応をしないことには、商用サービス開始時に、粗悪なイメージが足を引っ張ることになりそうだ。