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日本のサラリーマンが知るべき「持ち家貧乏」と不動産投資の甘い罠=俣野成敏

日本人にとって一番身近な実物資産といえば「マイホーム」。しかし最近では、超低金利や日銀のマイナス金利政策などの影響で、インカムゲイン(家賃収入)を狙った「不動産投資」が俄然注目を集めるようになっています。

果たして今後、日本のサラリーマンが資産を形成するには、マイホームを買うべきなのか?不動産投資をすべきなのか?けれども、もう今から不動産投資を始めても遅い可能性だってありますよね。いったい何が正解なのでしょうか?

そこで今回、次回と2週に渡って「国内不動産」特集をお送りします。不動産投資のスペシャリストで、株式会社トライブホールディングス代表取締役の大山一也(おおやまかずや)さんに、最新のマイホーム事情から今後の不動産業界の動向、成功する投資法まで、じっくりとお話を伺いました。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2017年5月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した項目や後編(5月12日号)もすぐ読めます。

何が正解? 専門家が本音で教える人口減少時代の不動産投資術

不動産投資をする前に知っておきたい予備知識

まずは、不動産投資を行うにあたっての予備知識からお伝えします。知っている内容も多いかもしれませんが、人は投資をする段になると目の前のことに気を取られ、基本を忘れがちになるもの。今一度、確認しておくことにしましょう(以下、本文中について名前が出てこない限り同一話者、敬称略)。

【抑えておこう!不動産投資のメリット・デメリット】

俣野:それでは改めて、専門家の方から不動産投資のメリット・デメリットをご説明いただけますでしょうか?

大山:不動産投資とは、個人が資産形成を実現する上で有効な手段の1つです。私が考えている不動産投資の主なメリットとは、次の5つです。

  1. 本業が多忙でも兼業できる
  2. 将来にわたって安定的な収入を得られる
  3. リスクが限定的である
  4. 自己資金を抑えながら大きな投資ができる
  5. 単なる投資にとどまらない相乗効果が見込める

簡単に説明しますと、(1)はすでにおわかりですね?不動産は、購入前こそ煩雑な手続きが必要ですが、購入後は運用面にそれほど手間はかかりませんし、それも基本的には管理業者に任せることが可能です。

(2)はインカムゲイン(家賃収入)による収益が見込めます。きちんと物件を選び、投資金に見合った収益の上がる物件に投資を行えば、家賃収入だけで暮らすことも不可能ではありません。

(3)は、衣食住は人間にとって生きていく上で必要不可欠です。よって他の投資商品に比べて不動産はリスクを低くすることができます。ただしそのためには、物件をよく選ぶ必要があります。

(4)はレバレッジ(借金)による投資が可能という意味です。これは不動産投資の大きな魅力の1つです。

(5)は、不動産事業主としての実績が信用となって、次の物件を購入する際にプラスに作用します。また、不動産を所有することによって節税にもなります(詳しくはメルマガVol.25「税金」などを参照)。

続いて、不動産投資におけるデメリットです。

  1. 空室リスク
  2. 物件の老朽化
  3. 金利の変動による返済額の増加
  4. 流動性が低い

(1)はすでにご承知だと思いますが、不動産投資は家賃収入がローン返済の原資となるため、空室はもっとも怖いことです。こうならないためには、一にも二にも物件選びをおろそかにしてはいけません。

(2)も資産価値の下落を意味しますので、まめなメンテナンスが欠かせません。質の低下が空室リスクにつながります。

(3)は変動金利にした場合、物価の上昇とともに金利が上がる可能性があります。固定金利にすれば避けることはできますが、それだともともとの設定金額が高くなります。

(4)はすぐに現金化できないというリスクです。

こうしたことを考慮し、投資を検討していく必要があります。

【実物資産としての不動産はどうか?】

俣野:以前、当メルマガではVol.46で「実物資産」特集を組みました。その際、すでにこの特集は予定しておりましたので、不動産については少ししか触れませんでした。大山さんは、実物資産としての不動産と、投資対象としての不動産の違いについてどう思われますか?当メルマガの読者の大半が「これから資産を形成していこう」という方ですので、そうなると、一番身近な実物資産といえばマイホームなのだと思いますが。

大山:これはあくまでも私個人の意見になるかもしれませんが、現在、マイホームは余程の一等地でない限り、負の遺産となりつつあるように思います。

かつて、日本が高度成長に沸いていた頃は、誰もが「マイホームは正しい資産だ」と信じていました。当時は家や土地を持っているだけでどんどん資産価値が上がりましたから、無理もないことです。それが今では、特に遺産相続する際に、相続人にとって重い負担となる場合が多くなっています。遺産の査定額が現状の市場価格で算出されないからです。しかも、マイホームというのは買った瞬間から値段が下がり、物件も劣化していきます。

世間ではよくマイホームに関して「持つべきか、持たざるべきか」持家派vs.賃貸派の議論が話題になりますが、私でしたら賃貸を推しますね。なぜかと言うと、マイホームを買うためのお金を使って投資を行い、それで家賃が払えるキャッシュインがあればいいワケですから。しかも、賃貸ならいつでも新築に住み替えられるし、場所も移り変われます。マイホームは、あるだけでそこから動けなくなり、仕事や行動範囲が狭められます。

もし、4000万円の家を買うのであれば、そのお金でアパートを購入し、そこから上がる家賃収入の一部で部屋を借りて住んだほうがいいのではないでしょうか。もしくは、自分の物件の一室に自分で住んだり、そこで開業するという手もあります。マイホームは返済が終わっても建て替えが必要になるだけで、1円もキャッシュは生んでくれません

「自分のものなら安心」「老後に住むところがないと困るから」「家賃を払うのと同じ額で家が持てる」など、マイホームを勧める謳い文句はいろいろありますが、日本の住宅は30年もすれば資産価値がゼロになります。マイホームを買ったのはいいけれど、歳を取って子供もみんな巣立って行き、配偶者に先立たれ、だだっ広い家に1人で住んでいる老人も郊外には多いと聞きます。今の世はすでに「所有する時代ではない」のです。

不動産投資の「真実」

マイホームが「正しい資産ではない」という、衝撃の事実。大ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』のロバート・キヨサキ氏も「資産とは、自分のポケットにお金を入れてくれるもののことであり、ポケットからお金を奪うものはすべて負債だ」と述べています。まだまだ、大山さんの話は続きます。

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