悪い印象を植え付けるだけ。業界オモシロ話が後輩指導に使えぬ訳

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新しい仕事を選ぶ際、経験談や口コミが「悪い話」ばかりだと、その業界や店舗への興味を失ってしまうものです。では、どんな話題が人を惹きつけるのでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では、接客販売コンサルタント&トレーナーで専門学校の講師でもある坂本りゅういちさんが、業界体験談のまとめ方にコツがあるとし、仕事内容を紹介する際に注意すべき点を記しています。

次世代にどんな話をしていくか

昨年から、ありがたいことに、専門学校で、販売の仕事の授業を任せてもらっています。私も、教壇という舞台に立つことは、初めての経験でしたので、色々と今現在も勉強をしながら、やっている最中です。

そんな中でも、やっぱり、「接客って楽しそうだな」「販売員って面白そうな仕事だなと思ってもらえるようにするには、どうすれば良いのかは常に意識しています。もしこの授業で、「接客って楽しくなさそう」「販売員になんてなりたくない」と思われたら、それは私の責任ですし、販売業界にとってもとてもよくないことになってしまいます。

で、そうならないようにするために、気をつけている、あることがあります。苦労話語りをしないということです。

私は、今現在、研修講師として仕事をしていますが、そこに至るまでに、いくらかの販売員生活を経験してきました。その生活の中では、正直、「めちゃくちゃしんどいよね」とか、「これは本当にきつかったみたいな経験がたくさんあります。販売員同士でそんな話をしだすと、もう、きりがないくらいに出てきますが、誰だってそういう経験はしてきていることだと思います。

恐ろしいことに、そういう話をするのは、みんな結構得意なんです。私もそうですが、「この時、こんなにしんどかったんだよー」なんていうのは、とても簡単で、しかも、誰かに聞いて欲しいと無意識に思ってしまうもののような気がします。

でも、そんな話を聞かされた人が果たしてその道を目指したいと思ってくれるかで考えてみると、決して良い結果には繋がらないと思うのです。「僕が接客をしていたら、こんなことがあってね。それはもう大変だったんだよ。だから、販売員って大変な仕事なんだよ。甘く見ないでね」なんて、学生に言っていたら、誰一人、販売の道に進みたいなんて思ってくれません。

だからこそ、そこにはとても気をつけていてむしろ販売や接客ってこんなに楽しいことがあったんだよこんなに良いことがあるよ、ということを伝えるようにしています。

これは、現場でも同じことが言えるのではないでしょうか。新人スタッフが入社してきた時に、「うちは、こんなお店で、こんなに厳しいことが待っている。だからあなたも、気をつけて仕事に取り組んでね」なんて言われたら、どうでしょうか。その新人スタッフは、最初から、きつい苦しい部分ばかりを耳にすることになってしまい、その後、仕事に対してモチベーションを上げることなどできなくなってしまいます。それが尾を引いて、実際にきつい場面を迎えた時には、「やっぱりしんどいから辞めます」「いや、働くの楽しくないんで」となってしまうかもしれません。

現実的にそういうお店は結構よくあって、そんな店ほど、先輩や上司が、苦労してきた話、自分たちが苦しんだ話を語りたがります。「そこから学んで、今はこんなに楽しい」というような話なら良いのですが、そうではないことが多いのです。新人スタッフのことだけでなく、誰かに新しく仕事を任せる時にも、似たような現象は起こっていますよね。

これから後進を育てていかなければいけないという時に、どんな話をしていかなければいけないのか。どんな話なら、楽しそう、やってみたいと思ってもらえるのか。ここは、かなり注意をしておかなければいけないことだと考えています。

今日の質問です。

  • 自分が先輩や上司から仕事の話を聞くとしたら、どんな話を聞かせてもらいたいですか?

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【著者】 坂本りゅういち 【発行周期】 日刊

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