福島のシイタケ栽培農家「これからどうすれば」=台風19号、被害額1.7億円以上

2019.10.29
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by 時事通信

台風19号による浸水で出荷できなくなったシイタケ=24日、福島県郡山市

台風19号による浸水で出荷できなくなったシイタケ=24日、福島県郡山市

 福島県郡山市で菌床シイタケを栽培する村田広一さん(68)は、台風19号による浸水で甚大な被害を受けた。ビニールハウスや空調施設が大きく壊れるなどし、シイタケも大半を処分せざるを得なかった。厳しい現状を前に、村田さんは「これからどうすれば…」と頭を抱える。
 同市では12日夜に大雨が降り、自宅近くを流れる藤田川の堤防が決壊。村田さんら家族3人は無事だったが、ハウス6棟と空調施設3棟が被害を受け、使用不能に。トラクターなども水に漬かり動かなくなった。出荷できなくなったシイタケの菌床は6万5000玉を超える。


台風19号による浸水で壊れたシイタケ栽培施設について説明する村田広一さん=24日、福島県郡山市

台風19号による浸水で壊れたシイタケ栽培施設について説明する村田広一さん=24日、福島県郡山市

 2011年に東京電力福島第1原発事故が起きた際は、同県沿岸部の南相馬市の材料を菌床に使って栽培したシイタケから、高い放射線量が測定されたため、全て処分。風評被害で4割ほど価格が下落したものの、東電からの賠償金で何とか乗り切った。今でも市場価格は他県に比べ2割ほど安い状態が続いている。
 だが、村田さんは「今回はレベルが違う」と嘆く。被害額は設備分だけで約1億7000万円。「想定外で、(今後どうするか)見通しが立てられない」と肩を落とす。
 「息子らにバトンタッチしようと思っていたが、(この状態では)やらざるを得ない」。村田さんは荒れ果てた現場の前で険しい表情を見せた。(2019/10/29-07:17)

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