指導する立場の人間の「なぜこんなこともできないのか」という言葉に、言われた側が押し黙りうなだれてしまうというシーン、よく見かけられます。そもそも部下や子供に、このような言葉をかけてもいいものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では現役弁護士の谷原誠さんが、否定的な「質問」が相手に伝えるネガティブなメッセージについて分析するとともに、前向きな行動や成長を促す質問法をわかりやすく紹介しています。
「なぜできない?」は間違いか
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
「なんで、こんなこともできないの?」
日常、ついつい口に出てしまいがちになる台詞です。部下に対し、後輩に対し、子供に対し、友人に対し、何度言ったことがあるでしょうか?
これは、質問形式になっていますが、本来の質問の使い方ではありません。自分が考えていることの最後に疑問符をつけただけです。「なんで、こんなこともできないのだろう」と考えているだけのことです。
しかし、質問というのは、相手に考えさせて、答えさせる、というのが本来の使い方です。質問されると、それに答えようとし、答えを考えます。ですから、質問する際には、「何を考えさせて、答えてもらうか」を、よく考えなければなりません。
先ほどの、「なんで、こんなこともできないの?」という質問を検討してみましょう。この質問をされた人は、どう考えるでしょうか?
「なぜ、私はできないのだろう?」
「私のどこが劣っていたのだろう?」
「いつから、私は、こんなにダメになってしまったのだろう?」
いずれにしても、ネガティブなことしか考えません。
しかし、質問した人の本当の思いは、どこにあるのでしょうか?こんなネガティブなことを考えさせて、落ち込ませよう、と考えているのではないはずです。「この程度のことは、軽く出来るようになって欲しい!」と願っているのではないでしょうか。しかし、間違った質問をすることにより、反対の結果になってしまっています。
質問は、相手に考えさせるのですから、相手ができる方向で考えるよう誘導することができます。
「できるようになるためには、何か必要?」
「誰と組んだら、できるようになる?」
「いつから準備すれば、できる?」
「どうしたら、できると思う?」
5W1Hを使い、相手が自分で考え、成長するような質問をすることが大切です。自分が考えていることを口に出すだけでは、自分が願っている効果を相手に及ぼすことはできません。質問する際にも、相手の立場に立って考えることが大切だと思います。
質問に興味がある方は、ぜひ、この本を読んでみてください。
『人生を変える「質問力」の教え』(WAVE出版)
今日は、ここまで。
image by: Shutterstock.com