シュレッダーの中で桜のように散った安倍昭恵夫人「お友達」の名

arata20191128
 

首相やその夫人による「不可解な招待者の選定基準」だけでなく、反社会的勢力の関係者と見られる人物までもが参加していたことが明らかになった、総理大臣主催の「桜を見る会」。身の潔白を主張する首相ですが、招待者名簿が意図的とも思われるタイミングで破棄されたとあっては、額面通りに受け取ることも困難と言わざるを得ません。元全国紙社会部記者の新 恭さんは今回、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、名簿廃棄を巡る内閣府の一連の答弁は、森友問題の際と同じ構図だと指摘するとともに、ここでも「ごはん論法」を繰り広げる安倍首相を批判しています。

社会貢献表彰の昭恵会長が功労者を招かない「桜を見る会」の不思議

安倍昭恵氏は2014年6月から公益財団法人「社会貢献支援財団の会長をしている。役員名簿の肩書は、内閣総理大臣夫人である。

筆者がこの財団の存在を知ったのは、旧知の元読売新聞記者Y氏からのSNSで「僕のフェイスブックを見て」とメッセージが届いたことからだ。

フェイスブックには、Y氏が安倍昭恵氏と並び、他の3人とともに帝国ホテルの金屏風前で微笑む写真が載っていた。日付は2018年11月26日だ。

同財団による「第51回社会貢献者表彰式典」の晴れがましい風景である。日本財団の笹川陽平会長は、親団体の立場から、こうブログに書いている。

「社会貢献支援財団」は…広く社会の各分野において、社会と人々の安寧と幸福のために尽くされ、素晴らしい活動をされながらも報われる機会の少なかった方々を顕彰する財団です。…2014年6月、公私共にご多忙の安倍昭恵令夫人に無理を承知で会長へのご就任をお願いしたところ、社会的意義をご理解くださり、快諾されると共に活気ある財団活動をされておられます。

在日外国人のために弁当講習会を開催したり、日本の文化・習慣になじめない親子をサポートしている「関西生命線」という団体が、同財団に表彰され、Y氏はその関係者として昭恵氏に初めて出会ったというわけである。

正直なところ、この写真と、「安倍昭恵会長から、直接、顕彰されました」という喜びあふれる文面を見た瞬間、複雑な思いにとらわれた。関西生命線は立派な活動をしていて、表彰にふさわしい。Y氏も新聞記者時代からこの団体を報道の力で支援してきた。しかし、Y氏はなぜそんなに、この写真を見せたいのだろうかとも思った。当時の昭恵氏はまだ森友問題の渦中にいたのだ。

教育勅語を幼稚園教育に持ち込んだ森友学園を応援してきた昭恵氏の行動により、それを記録した公文書の改ざんを命ぜられ、悩んだ挙句、自殺に追い込まれた近畿財務局職員のことが頭をめぐった。

それから一年。安倍昭恵氏は、「桜を見る会」疑惑で、再び、安倍首相とともに“時の人”となっている。「私人」であると閣議決定されている昭恵氏が、公金で開催される「桜を見る会」に全国各地の知り合いを招待した。そのことへの違和感、不公平感が国民の間に広がっている。

参加者の多くに罪はない。総理大臣名で招待状が届けば、理由はさておき、なんとか都合をつけて参加したいと思うだろう。ネット上のブログやSNSに参加者の素直な声があふれたのも、自然なことだ。

後援会関係者と一緒に上京した女性。「普段は入れない場所に入れるよ、芸能人にも会えるよって昭恵さんと仲良しの友人に誘われて参加しました」(アエラより)

過去数回、熊本から参加した30代男性。「これ(桜を見る会)に参加するのに、特別な功績とか功労が必要だなんて知りませんでした。昭恵さんの友達だから参加できると思っていました」(同)

昭恵氏が関係する東京の「和食居酒屋UZU」、下関市のゲストハウス「Uzuhouse」など、「UZU」人脈について言及するメディアもある。

14年7月に昭恵氏が校長となって開講した「UZUの学校」では、女性クリエイターや起業家らを講師に招いて女性の社会進出についての勉強会を開いてきたという。その関係者らも招待されたようだ。

外国の要人や、社会に何らかの功労のあった人を招くというのが「桜を見る会」の本来の趣旨である。昭恵氏の友達だから、あるいは友達の友達だから、総理大臣名で招待するのは、筋が違う。

政府は招待者名簿を破棄したと言い張り、公表を拒否している。そのため、昭恵氏関係の参加者名の詳細は明らかではなく、いたずらに憶測だけが広がっている。昭恵氏の推薦枠が実質的にあり、功績、功労者ではない人が招かれているのではないかという疑いが渦巻く。昭恵氏を「桜を見る会」問題の“主役”の一人に押し上げている原因はそこにある。

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