20191125_hamabeminami_eyecatch02 

浜辺美波、「最近ふっきれました。今回なんて白目むいて寝ていますから(笑)」

『君の膵臓をたべたい』で儚げなヒロインを演じ、一躍脚光を浴びてから早2年。『センセイ君主』や『賭ケグルイ』などで振り切れた演技を披露し、最近はコメディエンヌとしても覚醒しつつある浜辺美波が、謎の美人女子大生探偵を演じる本格ミステリー『屍人荘の殺人』が12月13日より公開されます。2017年に刊行されるや、「このミステリーがすごい2018」をはじめ、主要ミステリーランキングで1位を獲得した話題作の映画化。原作小説の大ファンだったという浜辺美波をMAG2 NEWSが直撃取材してきました。

1010_0073

『君の膵臓をたべたい』が、彼女の代表作になる。

2年前にMAG2 NEWSでインタビューした17歳の浜辺美波をこう伝えた。透き通るような存在感と癒やしのボイスで、映画界のニューヒロインとして脚光を浴びたのも束の間、彼女はまたたく間に正統派から特異な役まで圧倒的な存在感を示す女優に成長し、今もなお数々の「代表作」を生み続けている。

3_line_2019

2017年7月、映画『君の膵臓をたべたい』のインタビュー時

今や10代トップ女優にのぼりつめた彼女が次に演じるのは、不思議ちゃんキャラの大学生・比留子。機転を利かせて推理をする聡明なお嬢様ながら、無邪気でどこか抜けているお茶目な役柄。才色兼備でともすると嫌味にも見えかねないキャラクターだが、浜辺美波はこのクセの強いキャラさえも自然に演じきっている。現場では原作にも台本にもないアドリブの演出が飛び交ったという本作、19歳になった浜辺美波がどのようにしてこのキャラをものにしたのか、斬新なミステリー『屍人荘の殺人』について、撮影秘話を聞いてきました。

20191113_hamabe_shijinso_W_0808

大学のホームズとワトソンを自称するミステリー愛好会会長・明智(中村倫也)とその助手・葉村(神木隆之介)が、女子大生探偵・剣崎比留子(浜辺美波)と一緒にロックフェス研究会の夏合宿に参加。合宿先でまさかの緊急事態が発生し、ペンション「紫湛荘」に立てこもるハメに。外とも一切連絡がとれない中、ペンション内で連続殺人事件の幕が上がる!

 

タイトルに惹かれて手に取ったら予想外の展開に「ええ!?」

20191122_hamabeminami_gousei3_03

──『君の膵臓をたべたい』以来2度目のMAG2 NEWSご登場です。あの時は確か、から揚げにハマっていると…。

「懐かしいですね。今も変わらず好きです(笑)」

──読書が趣味という浜辺さん。まずは原作を読まれた感想を教えてください。

「映画のお話をいただく前から原作は読んでいて。『屍人荘の殺人』はタイトルにひかれて手に取ってみたら、予想外の展開に「ええっ⁉」となって夢中に。普段はミステリーや中華ファンタジーをよく読みます。電子ブックも活用しますが、本屋さんに足を運ぶことも多いかな。本との運命的な出会いも大切にしたいですし、単行本で買えば母と回し読みもできるので(笑)」

20191122_hamabeminami_1010_0042

──そんなお気に入りの作品に出演するのはプレッシャーでしたか?

「そうですね。ただ、いつも読書しながら、自分だったらどう演じるかなと妄想するのが好きなんです。今回はプレッシャーを感じつつ、想像の斜め上をいく密室ミステリーをどう表現するんだろうって、ワクワクの方が大きかったです」

──演じられた比留子について、どんな印象を持ちましたか?

「お嬢様育ちで突っ走りがちですが、心の闇も少しヘンなところもある女の子。原作では、女性らしさを武器に葉村君を惑わす感じもありますが、映画では、小悪魔的なところがなくて…。“ブラック比留子”というより、“無邪気な比留子”を意識しました」

20191113_hamabe_sijinsou02

寝る時は必ず白目むいているんですよ(笑)

──原作のミステリー要素を踏まえたうえで、木村ひさし監督ならではの遊びの演出が印象的でした。

「比留子のキャラをあまり固めず、監督が求めることに柔軟に対応できるよう心掛けてました。決めポーズは横綱の土俵入りの雲竜型とか、寝ているときは必ず白目とか

──監督のムチャぶり炸裂ですね(笑)。

「現場でいきなり土俵入りの動画を見せられ、これをやってくださいと。ミステリーだと思ったら、コメディかと勘違いするほど最初はビックリしっぱなしだったのですが、だんだんその状況を楽しんでいる自分が。次は何がくるんだろうって(笑)。毎日、原作にも台本にもない要素が、監督の閃きやアイデアで付け足されていく。そんな現場はほぼ初体験で、新鮮でした」

20191122_hamabeminami_collage

──相手に正論を言われて、言い返せないときの「ぬぬ」という口癖&表情も可愛かったです。

「ありがとうございます。それも監督のリクエストで、現場で突然「ぬぬ」って言ってみてと。「ぬぬって何?」と思いながら演じてました(笑)。完成作を見て、初めて作品の全貌を知るという。実は監督にはビジョンが見えていて、謎解きとコミカルな部分のさじ加減が絶妙でした」

20191113_hamabe_sijinsou1028

──ペンションで一緒に事件を追う推理ベタな葉村。演じられた神木隆之介さんとの初共演はいかがでしたか?

「スケジュール的にハードで、出演者の方の年齢の幅も広かったのでクランクイン前は少し不安でしたが、実際インしてみると笑いが絶えなくて。それも、神木さんが誰とでも屈託なく会話をされていて、現場を盛り上げてくださったからかなと。積極的に声をかけるとかではなく、いつの間にか神木さんの優しい雰囲気に包まれている感じ。あの癒しオーラは凄い!」

20191122_hamabeminami_1010_0157

──現場はいい雰囲気だったんですね。

「はい、常にワイワイしてました。神木さんと矢本(悠馬)さんが、モノマネがうまくて。特に、ミステリーテラーの関暁夫さんのモノマネがソックリで爆笑していました。つい関暁夫さんのLINEスタンプを買ってしまいました」

──(笑)。事件の臭いを嗅ぎつけては首をつっこむ自称ホームズ役の中村倫也さんとは『崖っぷちホテル!』以来の共演ですね。

頼りがいがある先輩です。比留子は、普段なかなか使わない男口調なので、セリフを噛んでしまうことも。それでもきちんと救い上げてくれたり、明智という癖のあるキャラクターを可愛らしく演じられていたので、さすがだなと。明智と葉村くんのコンビがよかったからこそ、その後の比留子と葉村くんもいいコンビになれた気がします」

20191122_hamabeminami_1010_0126

20191122_hamabeminammi_1010_0129

──原作者の今村昌弘さんとはお会いしましたか?

「何度か現場にもいらしてくださって。続編『魔眼の匣の殺人』の話を根掘り葉掘り聞いたり、今村さんおススメの小説を聞いたり」

──小説家の方のおススメ本は気になりますね。

「ですよね。『月光ゲーム』と『アリス殺し』を挙げていただいて、すぐに読みました。両方とも面白くて、もっとおススメ本を教えてほしいです」

──今村さんは「映画はエンタメ作品として、とても楽しめました」とコメントされてますね。

「そう言っていただけて、ホッとしてます。対談をさせていいただいたときに、『原作のダークさは人を選ぶから、映画はいろんな人に楽しんでもらえるように作ってもらえて、この作品を通じて原作を知ってもらえれば嬉しい』と話されていて。そういう素敵な考えもあるんだなって。あと、『比留子の新たな一面が見られたので、今後は、映画版の比留子のキャラに小説が引っ張られそう』と聞いて、何だか嬉しくなりました。頑張った甲斐がありましたね」

幽霊か病人の役しかできないと言われた地味な顔

──「キミスイ」の正統派ヒロインのイメージから一転、最近はクセの強い役が続いてますね。

「どうしてなんだろう(笑)。でも、『センセイ君主』でコメディに、『賭ケグルイ』でハイテンションな振り切れ演技に目覚めました。浜辺にチャレンジさせてみたいと、求められるのは素直に嬉しいです。私の顔は特徴がないから幽霊か病人の役しかできないと、最初はマネージャーさんに言われていて。実際、一時期は病人の役が続いたことも。ビジュアルが薄いところがコンプレックスでもあったのですが、メイクや髪型で印象は変えられる。メイク次第で地味な役も派手な役も演じられるので、それは女優という仕事を続けていくうえで大切だし、強みだなと思います。これからも色々な役にチャレンジしていきたいです」

20191122_hamabeminami_1010_0141

──さて、年末ですが今年1年を振り返ってみていかがでしたか?

「もうそんな時期が来ましたね(笑)。やはり今年は、高校卒業が自分の中でのビッグニュースでした。そういえば、『屍人荘の殺人』の撮影中に卒業式が。明け方まで撮影をして、そのまま卒業式に直行するという。みなさんに「いってらっしゃい」と送り出していただき、卒業式を終え、現場に戻って「おめでとう」と言われて感激しました。そういう意味でも、思い出深い作品になりました」

──来年は20歳ですね。今後、プライベートでチャレンジしたいことは何でしょうか?

車の免許をとること。あと、20歳になったらクレジットカードを作って、一人旅がしたいです」

──最初はどこに行きたいですか?

「北海道や沖縄かな。まずは日本語が通じる国内旅行からスタートします(笑)」

インタビュー・文/本山由樹子
撮影/能美潤一郎

20191122_hamabeminami_1010_0148

浜辺美波(HAMABE MINAMI)

2000年8月29日、石川県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションにてニュージェネレーション賞を受賞して芸能界入り。NHK連続テレビ小説『まれ』で注目を集め、2017年の『君の膵臓をたべたい』でブレイク。2019年はドラマ&映画『賭ケグルイ』、映画『アルキメデスの大戦』、アニメ映画『HELLO WORLD』などに出演。今後は『思い、思われ、ふり、ふられ』と『約束のネバーランド』の公開が控える。

information

映画『屍人荘の殺人

12月13日(金)全国東宝系にてロードショー

監督:木村ひさし
脚本:蒔田光治
原作:今村昌弘『屍人荘の殺人』(創元推理文庫刊)
出演:神木隆之介、浜辺美波、葉山奨之、矢本悠馬、佐久間由衣、山田杏奈、大関れいか、福本莉子、塚地武雅、ふせえり、池田鉄洋、古川雄輝、柄本時生、中村倫也
配給:東宝
(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会

print

人気のオススメ記事

  • 浜辺美波、「最近ふっきれました。今回なんて白目むいて寝ていますから(笑)」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け
  • ついでに読みたい