「技術革新」と訳されるイノベーションですが、技術に限らず、企業の成長や成果に繋げるための革新的なアイデアやビジネスプランを指して使われるようになってきました。
大手企業を始めとした各社がイノベーションの実現に向けてしのぎを削っていますが、果たして意図的にイノベーションを興すことはできるのでしょうか?
一見難しい「哲学」にスポットを当て、身近な物事の背景にある考え方を紹介している中野明さんのメルマガ「中野明のストリートで哲学を語ってみた」に、その答えが記されていました。
意図的なイノベーションは可能なのか
ZOZOTOWNの創業者で、2019年9月に同社の経営から手を引いた前澤友作氏が、テレビ番組か何かで「ライバルが同じようなビジネスを始めたら、私はライバルのいない市場で新たなビジネスを始める」といったニュアンスのことを言っていたことを記憶しています。
これを聞いて私は、前沢氏は「ブルー・オーシャン戦略」の信奉者なのだな、と感じたものです。
ブルー・オーシャン戦略はイノベーションを推進するための戦略です。今回はこのブルー・オーシャン戦略を通じた、意図的なイノベーションについて考えてみたいと思います。
ブルー・オーシャン戦略と4つのアクション
ブルー・オーシャン戦略は、フランスのビジネス・スクールINSEADで経営戦略論を教えるW・チャン・キムとレネ・モボルニュによって提唱された経営戦略論です。
キムとモボルニュが言うブルー・オーシャンとは、競争相手のいない市場を指します。これに対して競争相手がひしめき合い、血みどろの戦いが繰り広げられている市場をレッド・オーシャンと呼びます。
ブルー・オーシャン戦略では、レッド・オーシャンでの争いに見切りを付けて、競争相手のいないブルー・オーシャンを目指します。その戦略的方法論を示したのがブルー・オーシャン戦略です。
ブルー・オーシャン戦略は、戦略の策定および戦略の導入と実行という、大きく2つつのフェーズからなります。また、戦略の策定では5つのステップ、戦略の導入と実行では2つのステップで、ブルー・オーシャンを目指します。
本稿では7つのステップそれぞれについて解説することはできませんが、その中の第3ステップにあたる「4つのアクションの実践」についてふれたいと思います。